大学卒業後、USEN勤務を経て建設関連の会社に勤めた宮原さん。建設の業界について親身に教えてくれた技術者の方々に、不況が原因で退職を告げることになりました。
「お世話になった方々に、退職を告げるなんて耐えられなかった」
この出来事が原体験となり、建設現場の技術者の雇用を守るためにアールエフテクニカを起業します。「社員の雇用を守る」、その思想は同社が提供する和風居酒屋『残心』や剣道学生を対象にした企業説明会、『残心杯』などの社会貢献活動にも垣間見ることができます。
アールエフテクニカの事業内容から、新事業が生まれた舞台裏、そして剣道界への貢献活動について、あますところなくお聞きしました。
プロフィール
宮原 禎(みやはら・ただし)
1974年東京生まれ。正則高等学校から日本体育大学に進学後、株式会社USENに就職。その後、建設関連会社に転職し、2004年に株式会社アールエフテクニカ、2020年に合同会社アールエフクリアーレを創業。池袋にある和風スポーツバー『残心』も運営。
剣道は小学校1年生の時に始め、小中高大と継続。正則高等学校在学時は、団体戦東京都ベスト8・個人戦ベスト16の戦績を残す。現在は大山青少年剣友会に所属。段位は六段。
株式会社アールエフテクニカ
https://rftecnica.com/
合同会社アールエフクリアーレ
https://rfcreare.com/
残心 ZANSHIN 池袋個室居酒屋
https://www.zanshin.tokyo/
個人会員 特典 |
ドリンク一杯サービス 4名様以上のご予約でお会計時に5%オフ |
店名 | 残心 ZANSHIN 池袋個室居酒屋 |
所在地 | 〒171-0022 東京都豊島区南池袋2丁目26−10 アクティオーレ南池袋 3F |
電話番号 | 03-6907-0310 |
建設のスペシャリストが所属。都内主要ビルや工場設備の設計を行う
──事業内容を教えてください。
建設サービス業の株式会社アールエフテクニカを経営しています。主な事業内容は、「技術者のアウトソーシング」と「プラント設計サービス」で、他に「フード事業」や「有料職業紹介事業」「派遣業」なども行っています。
建設業全般ですね。一級建築士事務所も併設していて、図面だけ作成する仕事も請け負っているんですよ。
仙台、東京、大阪の3箇所に拠点を持ち、現在社員は約250人です。
──技術者のアウトソーシングは、どんなことをしているのですか?
「建設の派遣」というと、作業員みたいなイメージがあるかもしれませんが、弊社は施工を管理する人材を現場に送って仕事をしてもらっています。建築、設備、土木など、技術力の高い各分野のスペシャリストです。
──これまでどんな建築に携わってきましたか?
都内の主要商業施設、大型集合住宅ですね。プラント設計サービスでは、工場設備や施設設備の設計を行っています。具体的には大型の水処理場、水素処理場、火力発電所の設計などです。
他社との違いは、技術者の方々に登録してもらうのではなく、社員になってもらっている点です。派遣社員には「ライフスタイルに合わせて仕事を選ぶことができる」「自分の専門以外の仕事をする必要がない」「時給が高い」などのメリットがある一方で、社内での昇格や将来の安定性については物足りない部分があります。技術者を社員として雇用することで、できるだけ彼らの生活を守りたいんです。
現場の技術者の雇用を守るために起業を決意
──独立の経緯について教えてください。
私は小学校一年生の時に、父の勧めで剣道を始めました。中学校は残念ながら剣道部が廃部になってしまいましたが、そのぶん高校時代は部活に打ち込みました。
そして、強豪大学で剣道を学ぶために日本体育大学に進学します。大学4年間は剣道一色で、教員の道も考えましたが、ふとこれまでと違う道を歩いてみたくなったんです。そこで、教員や警察、刑務官などではなく、一般企業のUSENに入社しました。
配属された部署は突撃部隊みたいなところで、営業の基本についてたくさん勉強させていただきました。3年ほどUSENで働いて、今度は建設系の派遣会社に転職したんです。
──業界がガラッと変わりましたね。
そうなんです。当時の私は『コーディネーター』という職種で、営業と技術社員の管理をする仕事をしていましたが、建設について右も左もわからない状態でした。現場の先輩方に業界について本当にたくさんのことを教えていただきました。
しかし、不況が訪れて彼らを解雇することになってしまったんです。お世話になった方々に「辞めてください」と告知するなんて、私には耐えられませんでした。
会社は、利益を守るために人件費削減、人員整理をしますよね。でも、その前にもっとできることがあるんじゃないかと思ったんです。
──例えばどんなことでしょうか?
施工管理の派遣は、ある一定の年齢になったら仕事を辞めてしまう方が多いです。そこで新たに雇用した若い子に目上の先輩が教えるサイクルを作ってはと考えました。アイデアに賛同してくれる会社があって、「その仕組みづくりをうちの会社やならないか?」とヘッドハンティングしていただいたんです。
当時同社で働いていた社員の方々からも賛同いただいて、一緒に転職して来てくれた方も多数いらっしゃいました。「2年でこれだけの利益を作ってほしい」と目標額が提示されたのですが、いざやってみると約束の4倍もの利益を計上することができました。
──すごいですね!その会社で続けずに、なぜ起業に至ったんですか?
その後、私はゼネコンに参入したかったんです。会社を立ち上げた当初に思い描いてたサイクルをもっと強固なものにしたかった。しかし、経営陣は今のままでも儲かるからと現状維持を望みました。
確かにそのままでも利益は確保できますが、現場の方々の雇用を守るという当初の目的に立ち返ると、それが叶えられないように感じたんです。そこで、当時の仲間8人でアールエフテクニカを立ち上げました。
──そんなアツい理由で会社が立ち上がったんですね。
事情を説明したところ、9割くらいの人が新会社に転職してくれました。それが18年くらい前ですね。本当にゼロからのスタートでしたが、工事免許を取って、実績を少しずつ作ってきました。
社員のために始めた剣道部が成長し、新規事業のアイデアも生まれる
──居酒屋事業も手がけていますが、こちらはどんな経緯で始めたんですか?
社員のために、会社でレクレーションを提供したいと思ったのが始まりです。最初はフットサルをしていたんですよ。
私自身、大学を卒業してから仕事に追われ、すっかり剣道から離れていました。
子供が剣道を始めるタイミングで私も再開し、たまたま社内に剣道をやっている仲間もいたので、剣道部を作ることにしたんです。
実業団に登録すれば、会社のPRにもなるだろうと考えていました。
──そんな経緯で剣道部が始まったんですね。
はい、まずは渋谷区の大会に参加するところからスタートしようということで、渋谷区のスポーツセンターで稽古を始めました。
稽古の帰りに、居酒屋で飲むじゃないですか。その時に、防具を持っているとめちゃくちゃお店に嫌がられるんです。確かに迷惑ですよね。
それで「防具を持ってきても飲める居酒屋があるといいよね。剣道家大歓迎のお店を作ったらどうだろう」という話になりました。これが『残心』のスタートです。
工事はうちが安価で請け負うので一緒にやりませんかと、他の会社にも呼びかけました。
──すごいですね!コロナ禍の影響などはどうでしたか?
オリンピックの前には多くのご予約をいただいていたのですが、コロナで全て無くなりましたね。この規模で継続するのは、やはり大変なところがあります。
しかし、この事業をきっかけに本当にたくさんのご縁をいただきました。ですから、売り上げとはまた別の恩恵があります。
また、最近では他のスポーツ団体や民間企業の方々にもご利用いただくようになりました。スクリーンを使っていただけますので、映像を観ながら懇親会をしたいママさんバレーの団体やサッカー観戦、一般企業の昼間のミーティングにもご活用いただいています。
当店では持ち込んだ映像や大会動画を見ながら飲食が可能です。感染対策をかなり厳しく行い営業をしておりますので、ぜひお気軽にご利用いただきたいです。
──剣道部を作ったことによる本業への影響はどうでしょう?
建設業剣道大会に出ることが最初の目標だったのですが、大会への出場が叶い、優勝もできました。剣道のご縁で人を紹介していただいたり、取引先との関係づくりにも役立っています。
剣道学生たちと企業をつなぐ。長い社会人生活を見据えた窓口に
──素晴らしいですね。残心では学生向けに就職説明会もやっていますよね。
はい。これは私の肌感覚なのですが、剣道に打ち込んできた学生は就職活動が少し遅い印象があります。また、教員、警官、実業団の強豪企業など、選択肢がやや狭い傾向もあり、「警察官になること」「剣道が強い企業に就職すること」がゴールになりがちです。
就職をゴールにしてしまったら、とてもじゃないけど長い社会人生活を走りきれません。
そこで、企業や雑誌社にご協力いただき、剣道部員だけを対象にした面接会をやろうと考えたんです。ただ、もしこの面接会がきっかけで就職をしても、必ずしも剣道をしなくてもいいと伝えています。
──「剣道をしなくてもいい」と言えるのはすごいですね。
他の競技と違って、剣道で食べていけるのはごく一握りです。でも、その割には辛い稽古を越えなければならない。同じくらい苦しい練習に耐えてきたのに、他競技は年俸何億、一方で剣道は普通の会社員です。
仕事をする際に「剣道が義務」になったら、人によっては重荷になる可能性があります。だから、あくまで視野を広めるための「窓口」の立場でいたいですね。
「雇用を守る」原点は変わらずに、着実な会社経営を目指す
──今後の展望について教えてください。
建設業はこれからコロナの影響が出てくると予想しています。奇跡的にこの2年間、弊社は大きな影響を受けなかったため、危機に備え効率化など色々な整理ができました。しかし、これから先は全くの不透明です。企業が不動産や設備に投資をするかどうかは分かりません。
こういった点も見据えながら、地道に堅実に事業展開をしていきたいです。2020年に合同会社アールエフクリアーレを立ち上げましたので、建設現場での消毒や除菌、抗菌の需要にも応えていきたいと考えています。
──『残心』に関してはいかがでしょう。
いまは我慢の時ですね。『残心』は元々、弊社の子会社として運営されていたのですが、実はコロナの少し前に買取り、弊社の「フード事業部」所属になったんです。オリンピック直前はインバウンド需要がものすごくありましたが、いまは状況が全く変わりました。諦めずに耐え忍び、事業の活性化を狙っていきたいです。
また、最近では商品企画なども行い『残心』で販売しています。同じことを続けていても現状維持が限界です。前に進むためにも、色々なことに挑戦していきたいと考えています。
あとは、弊社では地域貢献活動の一環で「残心杯」を開催していて、そちらの活動にも力を入れていきたいですね。
──子供向けの大会の企画でしょうか?
小学生と大人、どちらも対象にしたオープン大会です。これまでに4回開催して、前回は400人もの方にご参加いただきました。
──すごいですね!
最初は小学生が15・16チーム参加する程度だったのですが、毎年広まっていって、3回大会はなかなか終わらず夜の8時までかかってしまいました(笑)
──大会運営は、御社の持ち出しですか?
はい、保険料だけいただきますが、他はいっさい費用をいただいていません。ただし、閉会式だけ『残心』でやらせていただいています(笑)優勝したら祝勝会をやりたいという団体さんが多いでしょうし、弊社で商品を提供させていただき、くじを引いてもらうなど遊びの要素も取り入れています。
──素敵ですね。
剣縁の思想にも通ずるところがあると思うのですが、剣道家の方々の親睦を深めるためのプラットフォームになりたいのです。それは日本だけに限りません。日本には食や武道など、世界に誇れる素晴らしい和の文化があります。
剣道の楽しさやその文化性を少しでも皆さんにお伝えしたい気持ちがあるんです。そして、建設に限らず弊社で働いてくださった社員の皆さんが、末長く働ける場所を提供すること。居酒屋『残心』をつくったのは、そういった意味合いもあるんです。
──原点である「社員の雇用を守ること」をずっと貫いていらっしゃるんですね。本日は貴重なお話をお聴かせいただき、誠にありがとうございました!
個人会員特典
店舗名 | 残心 ZANSHIN 池袋個室居酒屋 |
特典 | ドリンク一杯サービス+4名様以上のご予約でお会計時に5%オフ |
所在地 | 〒171-0022 東京都豊島区南池袋2丁目26−10 アクティオーレ南池袋 3F |
TEL | 03-6907-0310 |
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