伝統的な建築技術と新しい技術を組み合わせ、快適な住環境を実現。育英魂で突き進む(上村 信吾 / 上村建設株式会社 代表取締役)

関西の強豪校・育英高校がまだインターハイに出場する前…黎明期と言える時期に初心者から剣道を始めた上村さん。高校3年間剣道に打ち込み、いまも剣道の縁のなかにいます。

現在は個人住宅の設計をメインに、オフィスや店舗設計、リフォームも手がけます。住宅は人生でもっとも大きな買い物のひとつ。お客様の予算に応じて、誠実に住宅設計の提案をしています。さらに、個人住宅だけではなく高校剣道部の道場設計も行ったそう。

さまざまな建築を手がける上村さんに、住宅を作る上でのこだわりや、忘れられない剣道の思い出について伺いました。

プロフィール

上村 信吾(かみむら しんご)

1967年生まれ。兵庫出身。育英高等学校卒業後、大阪学院大学に進学。王子建設に約7年勤務し、その後、上村建設株式会社に入社。現在、代表取締役を務める。

剣道は高校1年生の時に始め、育英高校剣道部に所属。兵庫県団体ベスト8、近畿大会団体出場などの戦績を残す。段位は二段。

上村建設株式会社​​
http://kamimura-kensetsu.com/

伝統的な建築技術と新しい技術を組み合わせ、快適な住宅を作る

──事業内容を教えてください。

神戸で建設会社を経営しています。

新築住宅やリフォーム、店舗・オフィス設計の他、不動産業が主な仕事です。

──会社はお父様の代からですか?

はい、弊社は父の代から50年続いています。子供の頃から、ぼんやりと父の会社を継ぐんだろうなと考えていました。父の会社を継ぐことを意識しながら、大学卒業後に7年ほど一般企業で働きました。

──会社勤めをしていた時はどんな仕事をしていましたか?

小学校の建て替えなどですね。

現在は個人宅の建設がメインですが、オフィスや店舗設計を行うこともあります。店舗設計は知り合い経由のご紹介案件がほとんどです。飲食店舗はもちろん、小売店舗の設計にも対応できます。

新築住宅の施工例

──個人の住宅を作る上でこだわりはありますか?

弊社では、「外張り断熱」を採用した住宅設計をお勧めしています。これは木造建築に最適な設計方法です。木材を結露などの湿気から守りつつ、高い断熱性もあります。冬は暖かく夏は涼しく、快適で省エネ効果の高い住宅を実現できます。
また、お客様と相談しながら、できるだけ地元兵庫県で育てられた木材や木造住宅に最適な材料を使用しています。自然素材は、やはり温もりがあります。

──自然素材は、香りもいいですよね。

そうですね。弊社は木造軸組工法(在来工法)で住宅を作っているのですが、これは日本人のライフスタイルに最適な建築工法なんです。ご存知の通り、日本は昔から台風や地震などの自然災害に悩まされてきました。自然環境に対応するために、木造建築にもさまざまな工夫がなされてきたんですよ。
しっかりと設計・建築された木造軸組工法の住宅は丈夫で長持ちです。弊社は父の代からずっと建築に関わってきていますが、日本の伝統的な建築技術をベースに、新しい技術や法律も考慮した上で、幸せな住空間をお客様と一緒に作っていきたいと考えています。

──リフォーム事業ではどんなことをなさっていますか?

主に「耐震工事」「水回りのリフォーム」「内装のリフォーム」ですね。

耐震工事では、設計事務所と協力して耐震設計を行います。ご相談は無料で受け付けておりますので、現在の耐震基準に満たない木造住宅にお住まいの方や不安をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

──最近また地震が増えてきたので、ニーズがありそうですね。

水回りのリフォームでは、キッチンやコンロ、浴槽や洗面台、トイレなどオーダーメイドでも部分補修でも承っています。

​​内装はクロスやフローリングの張り替えのほか、和室から洋室へのリフォーム、バリアフリー施工など、建物に合わせた内装工事を行っています。

生活も見据えた上で、予算内で最適なプランを提案

──仕事をする上で大切にしていることを教えてください。

住宅は、家族の皆さんの生活の基盤となる場所です。仕事や学校から帰宅して、リラックスして明日への英気を養う大切な空間ですので、お客様のお仕事や家族構成、家を建てる土地や地域、小さなこだわりもしっかりと受け止め、真剣に向き合うことを心がけています。

できれば要望を全て叶えて差し上げたいですが、その分お金もかかります。最近ではスマートハウスなど便利な新技術もたくさん出てきているため、モデルルームの見学などにいくと、どんどん夢が膨らみ「あれもこれも」となってしまうことも少なくありません。

住宅は人生で最も大きな買い物のひとつで、動くお金も大きいです。気持ちが昂って冷静な判断ができなくなってしまうことがあるんです。

──確かに、冷静な判断ができなくなりそうです。

例えば、キッチンやお風呂は何年か暮らした後に、生活に適したものに作り替えることもできます。家を建てることが目的なのではなく、その先の生活も見据えた上で、予算内で余裕を持って家を作ることが大切なんです。

このため、お客様のご予算の範囲で、極力希望に添えた住宅を作ることを心がけています。

また、お客様から伺ったお話は必ず書き留めて確実に現場監督に伝達することを心がけています。最近では、お客様と僕と現場監督でLINEグループを作って情報共有を素早くするようにしています。

──LINEだと手軽に連絡が取れますね。写真も気軽に送れそうです。

お客様から「IKEAのこの家具を入れたい」と写真が送られてくるようなこともありますよ。

──住宅を作るときにIKEAの家具を入れるのを断る会社もあると聞きました。

そういうところもありますね。水回りなどは、何かあったときに責任を取れないのでお断りしていますが、それ以外の場所でしたら弊社はご要望を受けるようにしています。お客様目線で考えると、予算を抑えることができるので…。

現在施行中の事務所。この本棚はIKEAで購入したそう

──剣縁をご覧になった方で、住宅や事務所、店舗の相談をしたい場合はどうすればいいでしょうか?

ホームページからご連絡をいただきましたら、まず僕がご希望を伺います。そこから図面を作るのか、場合によってはその場で改装工事のご提案などをさせていただくこともあります。

住宅のご相談をいただいてから完成まで、時間もお金もかかります。ですので、しっかりとお話しして「この人だったら任せられる」と信頼していただくことが大切だと考えています。

育英高校剣道部の黎明期。初心者軍団が近畿大会に出場

──剣道関係のお仕事もしていますか?

ええ、僕は育英高校出身なのですが、育英高校剣道部顧問の先生のご自宅や、後輩の実家のリフォームを担当させていただきました。高校の剣道剣道場を作ったこともありますよ。神戸弘陵学園高等学校の柔道部の部室を改装して、全面剣道場にする仕事を担当させていただきました。

──剣道はいつから始めたのですか?

高校からです。

──初心者で育英高校の剣道部に入部なさったんですか?

はい。僕、高校受験の時に第一希望に落ちてしまって。高校に入学した時に「部活に入らなければ、周りに流されて遊んでしまうかもしれない」と危機感を感じていました。そんな時、友人が剣道部に入るというので一緒に入部したんです。

──育英高校は強豪校で、稽古がとても厳しい印象があります。

厳しかったですね。しかも僕らは先生が赴任なさってから間もない頃の代。まだ育英高校がインターハイに出場する前で、ほとんどのメンバーが高校から剣道を始めた初心者軍団だったんです。

でも、先生に本当に熱心に指導していただき、兵庫県では団体戦ベスト8に入り、近畿大会にも出場させていただきました。

──すごいです…。しかも上村さんは、上段だったと伺いました。

はい、2年生のある日、突然先生に言われて上段を執るようになりました。当時、上段の選手は兵庫県にいなかったので上段だけだったら僕が県内NO.1ですね(笑)

僕は高校を卒業したら剣道から離れてしまったのですが、いまだに育英剣道部の方々とは付き合いが続いています。

先生は稽古中はとても厳しいですが、面倒見が良くて僕らのことをいつも気にかけてくださいました。卒業後、大人になっても付き合いが続くような接し方をしてくださったんです。

──剣道は今のお仕事や人生にも活きていますか?

はい、とても。高校3年間育英の剣道部にいたことは、自分の人格形成に大きな影響を与えていると思います。剣道部に入ったおかげで道を逸れずに済みましたし、周りの方に気配りをする力や礼儀が身につきました。

自信もついたし、ちょっとやそっとではへこたれない人間になったと思います。僕たちの下の代は強かったので「絶対に負けたくない」とか「絶対にインターハイに行きたい」とか、そういう気持ちも強かったと思うんですけど、僕らの場合はとにかく目の前の稽古に一生懸命になって、やり切る強さを教えてもらったと思います。

少々のことでは動じないし、何があっても大丈夫ですね(笑)

──初心者で始めて、稽古が厳しすぎてびっくりしませんでしたか?

大変でしたけど、後輩たちも頑張っているから情けない姿は見せたくないと思ってました。彼らが頑張ってくれていたので、僕らも頑張れたんです。

1年生の時は自分のことでいっぱいいっぱいだったけど、学年が上がるにつれ先生が僕らに伝えたいことや、想いも分かってくるようになりました。

うちの息子の高校剣道部の監督も育英高校出身なので、いまでも剣道のつながりのなかにいます。

──素敵ですね。今後の展望についてお聞かせいただけますか?

年間3棟でも4棟でも、一軒でも多くの建築に関わっていきたいですね。その際はこれまでと変わらず、誠心誠意お客様に接していき、快適な住環境を一緒に作り上げていきたいです。

また、高校剣士を息子に持つ立場としては、父として剣道を応援していきたいです。僕が竹刀を持っていたのは高校時代だけですが、剣道のおかげで人脈が広がって、人格形成にも大きな影響を与えてもらいました。これからも剣のご縁を大切にしていきたいです。

──インタビューを通じて、育英高校剣道部の絆の強さを感じました。本日はお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!

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