シロアリから家を守る駆除のプロ。地域と子どもたちの剣道環境のために力を尽くす(太田 浩規 / 太田シロアリ株式会社 代表取締役)

関東以西、太平洋沿いの温暖な地域はシロアリ被害が深刻です。家の内側から食い荒らされるため、気付くのが遅れると家が倒壊してしまうことも。

シロアリから住宅を守るため、和歌山を拠点に活動するのが太田シロアリです。

代表取締役の太田さんは、選手としても指導者としても周囲から評価が高く、豊かな才能と穏やかな人格をお持ちです。しかし、当の本人には私欲がなく、ただただ地域や子どもたちのために心と力を尽くしています。

太田さんのお仕事や少年剣道についてお話を伺いました。

プロフィール

太田 浩規(おおた ひろき)
1972年和歌山出身。耐久高等学校卒業後、関西学院大学に進学。卒業後、太田シロアリ株式会社に入社。現在、代表取締役を務める。

剣道は小学校1年生の時に始め、小中高大と継続。現在、宮原剣友会所属。(※1)剣道錬士七段。
ホームページ
http://www.o-siroari.com/index.html

※1 インタビュー当時の名称。現 七彩剣の会。

大切な住宅を守りたい。地域密着シロアリ駆除のプロ

──事業内容について教えてください。

父の代から35年ほどシロアリの駆除や予防を行っています。

シロアリは、土の中などにコロニー(巣)を作り、建物の土台・柱となる木を食害しながら生活をします。

シロアリにとって外気は天敵。食害する際は建物の内側からなんです。このため発見されにくく、放置すると何十万匹にも増え、家が潰れるくらいの被害に繋がります。

床下の巣

──家が潰れてしまうんですか!シロアリに食害されていると、どうやって気づくんですか?

ドアがシロアリに食い荒らされたなど、見える部分に異変を感じてお問い合わせいただくことが多いですね。時には屋根をめくったり、お風呂場を解体するようなこともあります。

扉の縁がシロアリに食べられてしまった事例

──シロアリ、恐ろしいです。シロアリは「社会性が発達したゴキブリの仲間」とネットに書いてありました。

はい、シロアリはアリ科ではなく、ゴキブリ目シロアリ科です。イエシロアリはIUCN(国際自然保護連合)によって「世界の侵略的外来種ワースト100」に指定されています。

──シロアリ被害は、西日本の方が多いのでしょうか?

日本で発生する主なシロアリは、ヤマトシロアリとイエシロアリの2種類です。

被害が大きいのはイエシロアリで、関東以西の太平洋岸に沿った温暖な地域に生息しています。

和歌山県はヤマトシロアリとイエシロアリが共存しており、シロアリ被害が深刻な地域なんです。弊社は、地元和歌山を中心にヤマトシロアリとイエシロアリどちらも対応できます。

年間約300件の依頼をいただいておりますので、経験も豊富です。過去にシロアリ駆除に失敗したお客様からご連絡いただくこともあるくらいなので、安心してご依頼ください。

──どのエリアまで対応していますか?

和歌山県が中心ですが、たまに大阪からもご依頼をいただきます。近畿地方であれば対応可能です。

太田シロアリ事務所近くの宮原駅

被害状況をしっかりと確認し、納得してもらった上で契約

──シロアリ駆除を行う際は、どんな手順で?

まずお客様と日程を調整した上でご自宅・事務所にうかがい、被害の状況を拝見させていただきます。被害の範囲やどんな風に食害が起きているかなど、事前確認を必ず行うようにしていますね。

その後、お客様の了解を得た上で、床下や天井裏などを調査します。被害があった場所をデジカメで撮影し、お客様に状況を把握していただくんです。ご希望のお客様には、一緒に床下に潜ってもらって確認していただくこともありますよ。

その後、被害の状況に沿って細かい見積りを出します。下見前に概算金額を知りたい場合は、過去の事例を参考にお出しすることも可能です。

そして契約を行ってから、駆除を開始します。

──駆除の手順について教えてください。

事前調査をもとに駆除をしますが、大体、その日のうちに駆除は終わります。ご予定のあるお客様は、午前中に駆除を始めて作業の間お出かけいただいても大丈夫です。駆除開始時と駆除完了後の立会いだけお願いしております。

使用する駆除剤は安全なものなので、作業中にそのまま普通に生活していただいても問題ありません。

──アフターフォローもあるのでしょうか?

はい、5年間の安心保証を付けています。シロアリの駆除と同時に予防も行いますが、シロアリも生き物なので、防除を行っても100%発生しないとは限りません。

このため、施工後に気になることがあればすぐ駆けつけるようにしています。

──予防は、新しく家を建てる時にも行いますか?

はい、予防の場合もありますし、リフォームの際に業者の方がシロアリを発見するケースもありますね。

──仕事をする上で大切にしていることを教えてください。

まずお見積もりやヒアリングの段階で、お客様が納得いくまでお話を聞くことを大切にしています。疑問がある場合はなんでも聞いていただきたいです。お客様が納得するまで、施工はいたしません。

また、下見と段取りも重視しています。シロアリの被害状況だけではなく、住宅そのものも拝見し、もし先に直した方が良い箇所があれば、お客様にご相談した上で大工さんなどに修繕のご相談をすることもあります。

そして施工が完了したら、お客様ご自身に駆除が完了しているかどうかをしっかりとご確認いただくようにしています。

高校も大学も文武両道。大好きな物理と剣道に打ち込む

──もともと、会社はお父様が経営されていたんですか?

はい、私が高校にあがるくらいの頃に父が独立し、この会社を始めました。もし父の会社がうまくいかなくなったら、大学進学も難しいだろうなと少なからず覚悟もしていましたが、私立の大学に4年間通わせてもらったので、感謝しています。

20歳くらいまでは家に帰る気はなかったのですが、進路を考えるにあたって実家を継ぐことを決めました。

──子どもの頃の剣道のお話などをうかがってもいいでしょうか?

剣道は、小学校1年生の時に始めました。近所の友達がみんな剣道道場に通っていて「どこに行くんだろう」と、ついていったのが始まりです。当時、20人くらいの子どもが所属している道場でした。

そして中学校、高校、大学と剣道部に所属しました。

──剣道に関して印象深い思い出はありますか?

高校1年生の合宿で、全員1時間寝坊したことですね。

──太田さんの高校は、近畿大会出場、和歌山ベスト8などしっかり剣道に取り組まれている学校だと聞きました。怒られませんでしたか?

めちゃくちゃ怒られました(笑)

合宿に来てくださったOBの先輩が、目覚ましが「ピピピ…ッ」と鳴る最初の「ピ」で止めちゃったんですよね。

僕たち1年生より2年生の先輩が怒られていました。先輩がぶるぶる震えててちょっと面白かった(笑)

──(笑)大学時代はどうでしたか?

大学時代もたまに寝坊しました。同期には「太田には和歌山時間が流れている」と言われます。

──太田さんの大学の同期の方が「太田はトップクラスの剣の実力」とおっしゃってました。大学時代の印象深い思い出は?

大学2回生の時、前期の試験が終わってから1ヶ月くらいカナダに行ったことです。

──向こうでも剣道したのですか?

いえ、まったく。高校の時に、近くに住んでいた人がカナダ出身だったのですが「20歳になったらカナダに来て!」と言われ、絶対に行くと固い約束をしていたんです。

大学に進学する前だったので、剣道部の予定も当時はわからなかったし、ちょうど合宿の時期に被ってしまって。気まずかったです。

──強いけれど、剣道に対する執着がないんですね(笑)太田さんは理系の学部で忙しく、部活の両立が大変そうだったと聞きました。

はい、理系でした。僕、物理や数学が大好きなんです。最近はYouTubeで数学の動画を観たりしてます。

高校生の頃、物理が嫌いな友達の代わりに模試を受けたこともありますよ(笑)担任の先生に怒られました。

──そんなに好きなんですね!すごいです。

いまは、地元の宮原少年剣友会で剣道を指導させてもらっているのですが、剣道を分析するときに物理の視点で考えることもあります。面白いですよ。でも子どもに説明しても「よくわからない」と言われます。

少年剣道の指導にも尽力。のびのびと剣道を学べる環境をつくる

──卒業後、地元で少年剣道の指導を始めたのはいつ頃ですか?

20代半ばか後半くらいですね。月に1・2回通う程度だったのですが、だんだん子どもの顔と名前を覚え、指導したり遠征に行ったりするようになりました。

毎年夏に開催される全国道場少年剣道大会では、2013年と2017年にブロック優勝を果たした

──どんなご指導をされているんですか?

一所懸命やれば技術は向上していくので、成長を楽しんでもらえるよう心がけています。意味もわからずに辛い稽古はできないと思うので、例えば、かかり稽古や打ち込みをやるにしても、時間を測ってやるようにしていますね。稽古名は「楽しい10分」。子どもたちに「11分…いや12分でやってみる?」と交渉することもあります。

試合稽古の時は、例えば和歌山代表になるような6年生と小さい子を対戦させたりします。上級生は下級生を泣かせたら二本負け。小さい子には「泣けば勝ちだよ」と言うと、逆に泣かなかったりします(笑)

宮原神社境内で開かれた太刀宮奉納剣道大会

──子どもたち、のびのび剣道ができそうですね。

子どもたちのために、保護者の方々もご尽力くださっています。錬成会などで試合をする際に、お菓子でメダルやバッグを作ってくださることもあるんですよ。

子どもらしく楽しく、ちゃんと頑張れば強くなること、どうやって一本を取るのかを自分たちなりに工夫して、考えていってほしいですね。

“剣縁”で子どもたちの剣道環境を支えたい

──今後の展望について教えてください。

仕事に関しては、これまでと変わらず、粛々と丁寧にサービスを提供することですね。きちんとシロアリ駆除できるように、よくよく段取りを考えた上で取り組みたいです。

5月から11月くらいまで、シロアリが発生しやすくなる時期ですので、何か異変を感じた場合はお気軽にご連絡ください。新しい家を建てる際の予防や、もちろん冬でもいつでもご相談を受け付けています。

また、これまでに駆除を担当させていただいたお客様の定期メンテナンスもしっかり行っていきたいです。

今後は、若い人に仕事をしっかり覚えてもらって、僕が現場に行かなくても大丈夫なようにしていきたいですね。

──剣道に関してはいかがでしょう。

子どもたちの剣道の環境を、もっともっと良くしていきたいですね。

田舎なので人数が集まらないなど色々と課題はありますし、強豪道場にはまだまだ及ばないところはありますが、先生方や子どもたちと一緒に日本一を目指していきたいです。

それこそ「剣縁」で、少年剣道がつながり、子どもたちにとって良い出会いが生まれたら嬉しいです。

──取材前から「太田さんはすごい人」「剣道強いし指導も上手い」とうかがっていたのですが、本当に器が大きく無欲な方だと感じました。本日はどうもありがとうございました。

住所〒649-0437
和歌山県有田市宮原町193
電話0120-88-5062

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