仕事も剣道も、”いま”に全力で取り組む姿勢が未来をつくる。静岡トップクラスの相続税専門家(望月 洋樹 / しずおか相続クリニック 代表)

静岡県でトップクラスの相続税相談件数を誇る「しずおか相続クリニック」。代表の望月洋樹さんは、相続専門の税理士として数多くの相続相談を受けてきました。

相続に特化しているからこそ提供できる丁寧なサービスのおかげで、税務調査率は1%を切るそう。通常の調査率が10%であることを考えると、驚くほど低い数字です。

順調に税理士事務所を経営している望月さんですが、「どん底まで落ちた」と語るほど辛い時期を乗り越えてきました。辛い時に踏ん張る力をくれたのは、大学時代に打ち込んだ剣道でした。

プロフィール

望月 洋樹(もちづき ひろき)

1971年静岡生まれ。高校卒業後、関西学院大学に進学。静岡県庁に12年勤務後、税理士試験を受験し合格。大阪の税理士事務所での勤務を経て独立。相続を専門に扱う「しずおか相続クリニック」の代表を務める。剣道は大学で始め、4年間取り組む。剣道二段。
保有資格:税理士、行政書士、宅地建物取引士、AFP

▼連絡先
shizuoka-souzoku@joy.ocn.ne.jp
https://m.facebook.com/shizuoka.souzoku.jp/

相続の税務関連業務で静岡県トップクラスの税理士事務所

──事業内容について教えてください。

静岡県静岡市で、相続専門の税理士事務所を経営しています。具体的には、相続、贈与、不動産や株式の譲渡などに関する税務対策や申告手続きです。

──相続専門の税理士さんは珍しいのでしょうか?

税額が発生する相続税申告は年間約11万件。特例を適用して税額が発生しない申告も含めると、年間約14万件あります。全国の税理士の数は約8万人なので、単純計算だと1人あたり年間1〜2件前後の担当になりますよね。

だから、相続関連の相談は年間1件あるかないかくらいなんです。そんななか、当事務所はここ数年、年間35件程度の相続税申告書を提出しています。独立開業以来、令和4年4月現在で210件以上の申告実績です。

──すごいですね!法人や個人事業主の税務相談も受け付けているのですか?

事務所設立当初からお付き合いのあるお客様の会計業務は担当させていただいていますが、実は、いま一般的な会計業務の新規案件はお断りしているんです。相続関連のご相談が増えてきたため、そちらに専念しています。

──ホームページがありませんが、問い合わせはどちらからくるのでしょうか?

約8割は弁護士・司法書士の先生方からのご紹介です。信用金庫と生命保険会社の方からお話をいただくこともあります。

──弁護士・司法書士の先生方には、ご自身で営業なさったのですか?

いえ、交流会などがきっかけで知り合い、お仕事をご一緒させていただくうちに専属にしていただくようになりました。

不動産の登記は司法書士の先生、相続人間の調整は弁護士の先生の分野、そして私は税務関係と、それぞれ分野が違うのです。

──他分野の先生方のところに来た相談のなかで、税務関係は望月先生が担当するんですね。

はい、大変ありがたいことに継続的にお仕事をさせていただいています。

相続税申告のポイントは「土地評価」「税務調査対策」「遺産分割」

──相続税申告のポイントについて詳しくお聞かせいただけますか?

大きく分けて「土地評価」「税務調査対策」「遺産分割アドバイス」の3点です。

まず「土地評価」。土地の評価額は「路線価方式で評価する場合において、路線価が10万円で、その路線に接している土地が100平米あったら1,000万円」などと計算するのですが、実際の土地は変形していたり、道自体が狭かったり、建築基準法に基づいて制限が発生するため、諸々の要因を考慮して計算する必要があります。

きちんと計算すれば、評価は適正に下がっていくんです。しかし、税理士が10人いたら10通りの金額が出てきます。

──なぜ税理士の先生によって計算額が変わるのでしょうか?

不動産の知識の差です。税理士は税務と簿記のスペシャリストなので、不動産の知識について研鑽を積んでいない方も多くいます。このため、正確な土地評価ができる税理士を選ぶ必要があります。

ちなみに、計算を正確に行うために、私は宅建の資格を取得しました。特別なことをしているわけではないので、不動産の知識について常に研鑽を積んでいれば、適正な評価額を算出できると思います。

また、私は土地家屋調査士が使用する測量CADを使って、自前で現況測量図を作成します。これも適正な土地評価をする上で欠かせない技術であると考えています。しかし、ここまで実践している税理士は、かなり少ないのが現状です。

──なるほど…。

2点目は「税務調査対策」です。法人税の税務調査と相続税の税務調査には大きな違いがあります。

法人への税務調査は、帳簿を見て間違いがあったら指摘し、追徴課税を行います。何もないと「ご協力ありがとうございました」って帰っていくんですよ。

法人税は毎年申告するのに対して、相続税は一回きり。税務署は事前に署内調査をしっかりと行い、税務調査の対象を選定しています。

申告書を出してから1年・2年後に来るので「調査がくる=財産の申告漏れがあると言いに来る」ことなんです。相続税は、税務調査になるとほぼ追徴課税されることに加え、税務調査が入る確率が高い税目です。

じゃあ、みんなが申告内容を誤魔化そうとしているかというと、そんなことはありません。私はこれまでにたくさんの案件を担当させていただきましたが、皆さんすごく真面目に必要書類を出してくださいます。

──それにも関わらず、申告漏れが出てしまうのはなぜですか?

国民が考えている相続財産の範囲と法律で定める範囲が違うんです。この資料をご覧ください。「実質」とありますね。名義は関係ないんです。「家族名義の預貯金」の「実質所有者」は誰なのかってことなんです。

一番わかりやすいのは、奥さんのへそくり。これは申告しないと税務調査になる確率が高くなります。また、子供のために子供名義の預貯金を作ったというケースや、保険も同じです。例えば生命保険、個人年金に入っていて、そのお金をお父さんが出しているケースなどですね。これらを指摘するのが税務調査です。

でも、全部が全部、相続財産に分類されるかというと、そうではありません。名義に関わらず実質所有者が誰なのか、相続財産の範囲の確定が実はすごくポイントになってきます。

この点を説明するとお客様は「あ、そういえば、このお金はお父さんが出してくれた」と教えてくれます。しっかり整理すれば税務調査はそうそう来ません。ただ資料だけ集めて束ねて申告するから、税務調査が来るんです。

コロナで低下しているものの、調査率は全国で10%。そんななか、当事務所が担当した方々への税務調査率は1%を切っています。

──すごいですね!なぜそんなにも低いのですか?

やはり相続専門でやらせていただいているので、経験値が高いことが大きいです。

相続税の税務調査の勘所は経験によって培われます。このため年間の申告件数が10件以下の税理士では、正直心許ないかもしれません。

また、当事務所は相続税申告に「税理士法第33条の2の書面」を添付し、自信を持って提出しています。この書面添付制度を利用している申告は全体の約20%と言われていますので、この制度を利用しているか否かを、税理士を選ぶ際の基準にしても良いかもしれません。

──ちなみに3点目のポイントは?

遺産分割協議です。相続人間の調整は弁護士の先生の分野になるため、私は話し合いには入れません。しかし、税金が最も有利になる分け方をご案内し、さらに相続全般について「こういう点に気をつけてください」と情報提供をしています。

例えば、アパート経営されている方の場合、銀行からお金を借りるときに根抵当権をつけることがあります。5,000万円を借りたい場合、根抵当権を7,000万円に設定したりするんですね。修繕が必要になった時など、根抵当権をつけていれば、新たな抵当権の設定手続きをする必要がなく追加融資を受けられるんです。

ただ、相続開始後、6ヶ月以内に遺産分割協議を終わらせて、さらに所有権の移転登記や債務者変更も全部終わらないと根抵当権は継続できません。だから時間の勝負なんです。のんびりやっていると根抵当権を継続できなくなってしまいます。

また相続をする方々のなかに障害者がいる場合、その障害者の方にアパートを相続させてあげれば家賃収入を得られて安心と考える方がいますが、慎重な検討が必要です。収入があると障害者年金が止まってしまう可能性があるからです。

株も同様で、売買益が出ると障害者年金が止まる可能性があります。こういった点を遺産分割協議の時に専門家がリードしてあげる必要があるんです。

──落とし穴があるんですね。

はい。いまお話ししたことは、相続の周辺知識であって相続税の話ではないんです。税理士は税務のスペシャリストなので、相続税に関してはたくさん勉強しているのですが、この3つの点については圧倒的に経験不足なんです。でも、これらの知識を持っている人でないと、相続について任せるのは厳しいと言えるでしょう。

相続は一生の一大事です。遺産分割の結果により、残された家族の人生に大きな影響が生じます。だから、専門家選びはとても大切なんです。

大学の体育会で剣道を始め、同期に支えられ4年間やり切る

──なぜ相続専門の税理士の道へ?

私は大学卒業後、12年ほど静岡県庁に勤めたのですが、色々あって34歳の時に退職しました。大学時代は財政学のゼミに所属し、県庁時代も税務課に勤務しておりましたので、税理士の資格を取ろうと決意したんです。

仕事を辞めた時は、本当に気持ちが塞いで落ち込み、まさにどん底でした。でも、そんな時に大学時代の剣道部同期にとても励ましてもらったんです。

大阪の簿記専門学校に通って必死で勉強し、39歳の時に税理士試験に合格しました。でも、ちょうどリーマンショックの後で就職先が全然なかったんです。履歴書を20通送って返事が来たのは2社でした。そして雇っていただいた事務所が相続専門だったんです。

「相続に関して誰かの役に立ちたい」と大きな志を持っていたのではなく、この道に進んだのは、本当に偶然の導きでした。

──先ほど、大学剣道部のお話がありましたが、剣道はいつ始めたのですか?

大学生の時に始めました。

──体育会剣道部ですよね?きっかけはなんだったのでしょうか?

同じ寮にいた1学年上の先輩が見学に連れて行ってくれたんです。「見るだけだから」と、火曜日の夜の練習の見学に行きました。そしたら「ようこそ!!」と盛大な拍手で迎えられ、流されるままに入部しました(笑)

──それまで何か運動はしていたのですか?

ほとんどしていません。中学校の時に野球部に所属していましたが、授業の延長のような部活でした。

最初は廊下で素振りから始め、先輩や怪我で見学している部員が教えてくれました。夏には面をつけたのですが、もう練習についていくだけで必死でした。夏は盆地の名古屋で合宿だったのですが、もの凄く暑かった。

私は基本稽古で100%の力を使っているので、地稽古は体に力が入らないんです。倒れそうでした(笑)

先輩・同期が大会に向けて一丸となって「勝つぞ!」となっているなか、私は本当に、ついていくだけで必死なんです。何とかこの組織に留めさせてもらわないとと思っていました。

──やめようと思ったことはありませんでしたか?

ありませんでした。途中でやめたら負けの人生になってしまうと思ってたので。それに同学年がみんな、本当にいい人たちだったんです。

初心者だからといって冷たい態度を取ることなく、あたたかく迎えてくれる寛容な雰囲気がありました。強いし、剣道も一生懸命だし、みんな勉強も頑張っていた。タフで心が広くて、私からするとスーパースターたちです。

社会に出てからも、同期ほど尊敬できる人に出会ったことがありません。

──剣道部での経験は、社会に出てからも役立っていますか?

はい、県庁時代に総務省に出向になったのですが、そこでの仕事も大変でした。でも剣道部の練習の方がしんどかったですね。4年間、体育会剣道部で稽古をやり切った経験は、人生において大きな糧になっています。

しかも私は、大学4回生の4月から6月まで休部扱いにしてもらったんです。県庁の試験を受けるにあたって、部活と勉強の両立が難しく、皆さんの迷惑になるのが嫌だったので、同期に退部の相談をしました。

でも、「辞める必要はない」と休部扱いにしてもらったんです。同期の想いに応えるためにも、絶対に合格しようと1日15時間、必死に勉強しました。そして6月末の公務員試験に合格し、夏合宿から復帰したんです。

先輩・後輩含め、関学剣道部の皆さんには本当に感謝しています。剣道部で爪弾きにされていたら、こんな風にはなれなかったと思います。

現在の仕事は、繁忙期と閑散期で波が激しいこともあります。仕事が少ない時は、やはり不安になります。でも、そんな時は剣道部での経験を思い出して、踏ん張っていますね。

成功の秘訣は、剣道も仕事も、目の前のことに必死で取り組むこと

──仕事で大事にしていることを教えてください。

当たり前のことを当たり前にやる」ですね。簡単なようで、意外と実行できている人は少ないのではないでしょうか。私の仕事の良し悪しを判断するのは、最終的にはお客様やビジネスパートナーである弁護士・司法書士の先生方です。しかし、「当然ここはやってくれるだろう」という期待は絶対に裏切らないなど、自分が考えうる「最善」を提供することを心がけています。

また、相続はとてもプライベートなことなので、赤の他人に話したくないことです。じっくりお話を聞き、信用していただくことを大切にしています。

──今後の展望について教えてください。

関学での剣道部時代も社会に出てからも、目の前のことに必死に取り組んできました。そのスタイルは今後も変わりません。いまできることに一生懸命取り組んでいきたいです。その結果が積み重なって、未来に続いていくと信じています。

また、剣道のご縁に支えられていまの自分があります。相続業務は静岡で行っていますが、電話やメール、オンラインなど、いつでも全国どこからでもお気軽にご相談ください。

竹刀を置いて久しいですが、剣道仲間の皆様のお力に少しでもなれたら、それに勝る喜びはありません。

──望月先生の誠実なお人柄がひしひしと伝わってきます。本日はお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!

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静岡県静岡市葵区西千代田町17番2-1号
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