年末年始の営業について

腕一つで生きるため、整骨院を開業。仕事も剣道も、信念を貫き我が道をゆく(森崎麗将 / LEO整骨院 院長)

「自分は組織に向いてない」と考え、整骨院を開業した森崎院長。自分の城であるLEO整骨院で整骨、美容整体、小顔矯正、剣道整体など、幅広いメニューを提供しています。

インタビューでは、お仕事内容と開業までの道のり、そして学生時代に打ち込んだ剣道について伺いました。

森崎院長は人生の節目節目で「自分にとって嫌なこと」を敏感に察知し、無用な我慢を退けてきました。一本筋の通った生き方は、「面で勝負したい」と力強く語る、剣道スタイルにも現れているように感じます。

生きたい人生を生きる決断と行動を、どのようにしてきたのでしょう。

プロフィール

森﨑 麗将(もりさき・れお)
1982年、兵庫生まれ。雲雀丘学園高等学校を卒業後、追手門学院大学に進学。卒業後、専門学校に入学。整骨院勤務を経てLEO整骨院を開業。院長を務める。

剣道は小学校からはじめ、高校では兵庫県新人戦2年連続準優勝、国体選抜メンバーに選ばれる。宝塚錬成会所属。段位は六段。

ホームページ

宝塚で地域密着の整骨院を経営。剣道整体や美容整体も提供

──事業内容について伺ってもいいですか?

兵庫県宝塚市でLEO整骨院(れおせいこついん)を経営しています。

──街でよく「整骨院」と「整体院」を見かけますが、その違いは何ですか?

整骨院を開くためには「柔道整復師」の国家資格が必要です。さらに、整骨院は保険診療の対象であることも特徴の一つですね。整体院は民間で資格が発行されています。

──柔道整復師とは、どういった資格なんですか?

柔道整復師は「整骨」を専門にしています。

例えば脱臼をした場合、必ず柔道整復師がいる整骨院で「整復」を行う必要があります。専門知識がないと靭帯や関節を傷つける恐れがあるためです。

また、交通事故後にむち打ちやめまい、吐き気などの症状が出ている場合、整骨院等での専門的な治療が必要です。

捻挫、打撲、脱臼、肉離れなどの怪我や交通事故後治療のほか、日常生活で腰痛などの不調を感じた場合は、ぜひお気軽にご相談いただきたいです。

──院内には普通のベッドのほか、ウォーターベッドがありますね。

ウォーターベッドは水圧で身体をほぐしてケアします。強さは6段階あって、好みで調整可能です。施術をした後に電気を消して寝っ転がると、いつの間にか寝てしまう方も少なくありません。このベッドは治療というより、リラックス効果を狙っています。

医療認可を受けていて、国家資格を持っていないと院内に設置できないんですよ。

──限られた場所でしか体験できないんですね。さらに、美容整体もやっていらっしゃるんですね。

はい、美容整体では骨盤矯正や美顔(小顔矯正)メニューを提供しています。最近ではヘッドマッサージも行っており、好評です。対面販売しかできないのですが、化粧品も取り扱っています。

──私はパソコンに向かっていることが多いのですが、先日ヘッドマッサージをしてもらったら本当に楽になって…。

事務仕事やパソコン業務が中心だと、頭が凝っていたり、張っている方が多いですね。眼精疲労が溜まっている方もよく来院なさいます。ヘッドマッサージでは筋肉のこりをほぐしていきます。

──マッサージしてもらったら、顔がものすごく変化したので驚きました。

顔のむくみをとるだけで印象が大きく変わることは珍しくありません。当院では高周波電流でお顔の筋肉を動かし、引き締めるサービスも提供しております。筋肉をゆるめてむくみをとることで、顔を本来の形に戻すんです。

美顔施術のためのプローブ

──本格的な機材ですね。美容には元から興味をお持ちだったのですか?

知り合いの方に勧められたことや、セミナーがきっかけで扱うようになりました。この機材は、専門学校卒業後に勤めた整骨院の先生に勧めていただきました。

セミナーや展示会にも参加して、良さそうなことは取り入れるよう心がけています。

──化粧品はどんなものを扱っているのですか?

対面販売しかできない「エキスパートローション」を販売しています。こちらは化粧水の前に使用する「導入液」ですね。僕も実際に数ヶ月試してみたのですが、肌のハリが全然変わります。おすすめです。

──「剣道整体」のメニューもあるんですね。院内には「武士道」の書が飾られています。

はい、僕自身がずっと剣道を続けてきたので、剣道家ならではの身体の悩みを解決する整体メニューも提供しています。

この「武士道」の文字は、僕の曽祖父が書いたものです。この整骨院はもともと祖父の家でした。居間に飾っていたものを貰ったんです。なぜこの文字を書いたのか、書いた当時の話を誰も知りません(笑)

剣道だけではなくて、他のスポーツ競技をやってる学生さんも患者さんです。スポーツとは関係ありませんが、大学を卒業後に起業した子もいました。その子は、帰省するとたまに遊びに来てくれるんです。

──ケアしていた子たちが戻ってきてくれるって嬉しいですね。

はい、若い子だけではなく、年配の方や色々な職業の方と触れ合う機会も多いので勉強になります。

色々な患者さんが来院されるので、お悩みもそれぞれです。僕は自分が「できること」「できないこと」の区別をしっかりつけることを意識しています。身体に関することなので、できないことは「できない」とはっきり伝えるようにしていますね。

極端な例かもしれませんが「レントゲンを撮って欲しい」と言われたとしても、当院では対応できません。こういった場合は知り合いのお医者さんを紹介します。

「自分は組織に向いていない」、腕一つで生きられる資格を探す

──昔から整骨院を開きたいと思ってたんですか?

柔道整復師の資格を取ろうと思ったのは社会人になってからです。実は僕、大学を卒業して専門学校に入学するまでの間に少し社会人として働いていたんです。でも、組織で働くことよりも自分一人で働く方が向いていると考え、思い切って退職しました。辞めた後も一般企業には勤めず「何か自分でしよう」と決意していました。

しばらくはプラプラしていましたが、ある日、雑誌で「柔道整復師」の資格を見つけたんです。

僕は剣道に限らずスポーツが好きなんです。野球やアメフトの観戦をするのも大好きなんですよ。なので、自分の好きなことを活かせたらいいなと、直感でこの資格を取ろうと決めました。
資格を活かせば、開業して自分一人で仕事ができますし腕一つで生きていけます

──資格を取るために、学校に通われたりしたんですか?

夜間の専門学校に3年通いました。昼間は働いて、夜の6時から9時までは専門学校で勉強する生活でした。専門学校時代に知り合った仲間とはいまでも交流がありますよ。

みんな独立開業しているので、定期的に連絡をとって近況を報告し合っています。

──卒業後すぐに開業したのですか?

国家資格を取って最初の数年は整骨院で働き、経験を積みました。LEO整骨院を開業したのは2014年ですね。32歳の時に始めました。

──ベッドや機材などは自己資金でまかないましたか?

日本政策金融公庫の融資を利用しました。

開業する前に知り合った患者さんに市議会議員さんがいて、宝塚の商工会議所の理事長さんを紹介していただいたんです。商工会議所を通して日本政策金融公庫に融資の申請をしました。

柔道整復師は国家資格であることと、保険診療の対象であることから与信が安定しています。この点でも、国家資格を取ってよかったと感じています。

──自分1人で事業を開業することは、怖くありませんでしたか?

1人でやるのは怖いですけど、気楽です。基本的に、良くも悪くも決めるのは自分なので。患者さんと接する際は気を遣うこともありますが、いわゆる組織内で起こりがちな人間関係の煩わしさはありません。

あとは、「なんとかなる」って思っちゃいますね。何事も、やってみたら意外となんとかなるものです。上手くいかなかったとしても、別のことをやればいいし。

──芯が強いんですね。

思い悩むこともたくさんあります。仕事でも「もっとこういう言い方したらよかった」「こういう対応したらよかったな」とか、後で振り返って後悔することもありますよ。

でも僕、きっとわがままなんです。普通の人が我慢できることを我慢できないんですよ。嫌だと思ったら環境をすぐ変えてしまいます。

整骨院の中にはたくさんのLEO(獅子)のモチーフが

高校時代は目標の近畿大会出場を果たし、国体にも出場

──これまでの剣道歴について伺ってもいいですか?

剣道は、小学校1年生の時に父の勧めで始めました。宝塚錬成会でお世話になり、いまでも同じ道場に所属しています。雲雀丘学園には小学校の頃から通っていて、中高の剣道部顧問である恩師にも小学校の頃から地元でお世話になっていました。

小学校の卒業式の翌日から、僕は雲雀丘学園剣道部の稽古に参加しているんです。地元で稽古をつけていただいていた時は柔らかな印象の先生だったのですが、中高の剣道部の雰囲気は地元とは全く違いました。普段の稽古から、物凄い緊張感があるんです。

──先生、厳しかったんですね。

はい、厳しくて、そして熱心でした。

先生は日体大の卒業生。先生に「正しい剣道」を教えていただいたことは、僕の剣道人生における財産です。当時はわからなかったんですけど、「先生はこういうことおっしゃってたんやな」と、大人になってから分かることがたくさんあります。

──稽古内容はどんなものだったんですか?

平日は、朝練をして授業を受けて、放課後に4時から6時くらいまで稽古をしていました。その後、僕は「家が近いから」という理由で先生のお稽古会に連れて行っていただいていました。

土日も稽古と試合です。育英高校など日体大卒の先生が指導なさっている学校にもたくさん連れて行っていただきました。

夏のある日は11日間連続で日帰りの試合に出かけたこともありましたし、春は滋賀県の八幡工業に約10校が集まる3泊4日の合宿、夏は2回の合宿がありました。

──戦績について伺ってもいいでしょうか?
先生のご指導のおかげで、2年連続兵庫県の秋の新人戦大会で個人戦準優勝、兵庫代表で国体にも出させていただきました。僕たちは近畿大会への出場を目標としていたのですが、うちの学校で初めて近畿大会に出場できました。 

──素晴らしい成績を残されたんですね。大学でも剣道部に所属なさってたんですか?

最初、大学でも続けようか迷い、入部したのは1年生の夏でした。でも、いろいろ思うところがあって、そのちょうど1年後に辞めています。

辞める時は誰にも相談しなかったんです。唯一、キャプテンにだけ「辞めます」と言いました。もう全部嫌になってしまって。

でも、卒業してから当時のメンバーと集まる機会があって、改めて同期に「あの時何も言わずにやめてごめんな」って謝ったんです。そしたら「一緒に大学で稽古しよう」と誘ってもらって。

いま監督やってる方が、僕らの2個上の先輩なんです。「大丈夫やから、おいでよ」って言っていただいて…。そういうのは本当に、剣縁ですよね。

──「続けた方がよかった」と、思うことはありますか?

他の子が活躍しているのを見ると、ちらっと思いますね。でも、嫌なものは嫌なので。剣道自体は好きなので、大学の剣道部を辞めてからも地元の道場で続けました。

学生時代に教わった「正しい剣道」が、いまの自分の支え

──いまはどれくらいの頻度で稽古してますか?

ここ3・4年で週1回やるようになりました。きっかけは審査ですね。友人に「五段審査を受けよう」と誘われて受審して、僕一回落ちてるんです。審査の途中で「これあかんわ。落ちる」とわかりました。

その日から毎日最低100本は、どんな日も素振りをして、審査前日まで続けました。先生の教えを思い出し、原点に戻って素振りをしました。

──先生の教えで印象に残っていることはなんですか?

中心を取って真っ直ぐ打つことです。そしてやっぱり、面なんですよね。地稽古でも道場の先生にかかる時、僕はほぼ面しか打たないんです。返されようと、どうなろうと、面で勝負しようと決めています。

宝塚市民大会に出場した時の一枚

雲雀丘で先生に剣道を教えていただいたことは、本当に僕の財産です。あの頃、体系的に正しい剣道を教えていただいたおかげで、僕はいま剣道を楽しめています。

正直、学生時代は「楽しい」とは言えませんでした。「負けたくない」「でも稽古しんどい、先生怖い…」こんな風に葛藤しながら続けていたんです。いまはしんどくなったら途中で面を外して、ぼーっとして水を飲んで、好きにやらせてもらっています(笑)

──他に、剣道が支えになっていることありますか?

僕、見た目の印象で不真面目にみられることが多いんですけど、「剣道やってます」と言うと、剣道自体の印象が良いからか「だから姿勢がいいんや」とか勝手に良いイメージが作られていくので助かっています(笑)「五段です!」「いまでも続けています!」と言うと、さらに印象アップです。

──今後の展望について教えていただいてもいいですか?

当院には剣道家の方々や学生さんも来てくださっているので、剣道家の人たちを繋げていくようなことができたらいいですね。

あとは、スポーツでも学業でも、頑張っている子供たちのケアをしたいです。僕が診た子たちが世界に羽ばたいていってくれたら最高ですね。大人になって活躍して、テレビや雑誌でインタビューされるようなことがあったら、「最後に俺の名前を言ってくれ」といまからお願いしてます(笑)

──年月が経っても、帰って来れる場所であることは、まるで剣道の道場ですね。専門の整骨だけではなく、整体や美容、剣道の相談もできるなんて、剣士にとっては有難い場所だと感じました。本日はお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!

住所〒665-0011
兵庫県宝塚市南口2丁目11−9
電話0797-75-7325
営業日月~金/8:30~12:30,15:00~20:00
土/8:30~14:00
日/9:00~12:00
定休日第2、第4日曜/祝日

コメント

関連記事