剣道着に使用される藍染、刺し子織などの生地を利用したポーチやバッグを製作・販売するENN株式会社。
「ENN LIVING WORKS」のブランド名は剣道界でも高い知名度を誇り、同ブランドのアイテムをすでに愛用している剣道家も多いはず。展開される数多くのアイテムは、すべて剣道をテーマとしてはいるものの、スタイリッシュなデザインにより、日常生活にも違和感なく溶け込みます。
同社の代表取締役を務めるのは、高校時代に東北大会優勝などの戦績を残す熊谷佳樹さん。ファッションという分野から剣道の普及発展に尽力する熊谷さんに、自身のお仕事と剣道への熱い想いを聞きました。

プロフィール
熊谷佳樹(くまがい よしき)1980年宮城県生まれ。仙台高校(宮城)から東北福祉大学に進学。大学卒業後に住宅メーカーに就職するも退社。以降は飲食業界に勤務する。2011年に飲食業にて独立起業し、2012年からENN株式会社の代表取締役に就任。2016年より剣道着のリメイク事業、ワードローブ事業を展開する「ENN LIVING WORKS」を立ち上げる。剣道は小学1年生からはじめ、高校時代には東北大会優勝、大学時代には全日本学生優勝大会出場などの戦績を残している。現在段位は四段。
ENN LIVING WORKS
【ホームページ】https://enn-inc.com/
【オンラインストア】https://elw.official.ec/
【クラウドファンディングページ】https://www.makuake.com/member/index/233270/#projec
剣縁個人会員のデジタル会員証を見せると、大会会場の出店ブースででENN LIVING WORKSオリジナル剣道ステッカーをプレゼント
独立起業のスタートは飲食業から。
職人との出会いから運命が変わった

バッグをはじめ、現在は剣道Tシャツも展開。「ENN LIVING WORKS」の商品のラインナップはどんどん広がりを見せている
── 剣道着をリメイクしたバッグなどの製造販売で、すでに剣道界では高い知名度を誇るアパレルブランド「ENN LIVING WORKS」。その代表取締役を務める熊谷佳樹さんにご自身のお仕事と剣道のお話をうかがいたいと思います。まず「ENN LIVING WORKS」の立ち上げのきっかけというのは?
私が最初に起業したときは、実はいまのアパレル事業とはまったく別の飲食事業からのスタートだったんです。もともと大学生時代に飲食店でアルバイトをしていて、その職場が和気あいあいとした雰囲気だったこともあってとても楽しかったんですよね。大学を卒業してまず就職したのはとある住宅メーカーだったんですが、当時の住宅メーカーというのは会議中に灰皿が飛んでくるような、なかなか過酷な労働環境。私はその雰囲気にあまり馴染めなくて、そうなると自然と頭をよぎるのは楽しかった学生時代の飲食業でのアルバイトの日々でした。結局その住宅メーカーは1年ちょっとで退社して、それからは宮城県仙台市の飲食店に就職しました。飲食業界で8年ほど働いたところで独立したのが私が30歳のときでした。
── そこから現在のアパレル事業にどのようにつながるのか、興味深いです。
あのころは仙台市内に2店舗を経営していたのですが、私自身がずっと剣道の世界で育ってきていたこともあって、当時お店に来てくださっていたお客さまはほとんどが剣道関係の方だったんです。そんな剣道の縁を頼りにしてお店を経営して数年が経ったころ、東京でアパレルの会社に勤めていた弟が帰郷して私の会社に入社することになりました。そこで弟から聞いたのが、東京に剣道着のリメイクをしている職人がいる、という話だったんです。私の弟は剣道経験もありましたから、その縁もあって東京で出会ったのが黒崎誉道という職人で、私は弟から黒崎のその取り組みを聞いて非常に感銘を受けたんです。
はじめは事業化することなどは考えてはおらず、黒崎の取り組みをなんとか応援したいという気持ちから、経営する飲食の店舗に彼が手がけるリメイク商品の受注表を置くことにしました。さっきもお話ししたとおり、お客さまには剣道関係の方が多かったので、仲間内でもどうにか話題になればいいな、というくらいの考えだったのですが、私が想像していた以上に反響が大きくて、これには非常に驚かされました。そんなことを1年ほど続けていくうちに、私の心のなかに「これを本格的に事業化したい」という思いが湧き起こるようになった。そこで東京に出向いて直接黒崎を口説き、ウチの社員として迎えることになったんです。
── 熊谷さんにとってはそれまで経験のなかったアパレル事業ですよね。
そうなんです(苦笑)。ですから最初は分からないことだらけでしたが、そこはアパレル経験のある弟からいろいろと教えてもらいながら。事業のはじめは、剣道関係の方にお願いして使わなくなった剣道着をかき集め、それで商品を製作していたのですが、やはり剣道をやったことのないお客さまからお話をうかがってみれば「誰かの使った剣道着はちょっと抵抗が……」という意見が多かった。そこから新品の藍染、刺し子織の生地を使うことを検討するようになり、どうせ藍染めを使うのであれば、やはり剣道家としては憧れのブランドである武州正藍染を使いたいという話になったんです。そこで武州の生地を求めて動き出したワケですが、我々は剣道具店でもなければなんの事業実績もないですから、最初は卸してもらうこともままならない状態でした。そんななか、どうにか話を聞いてくださる業者さんと出会うことはできたのですが、特殊生地ということもあってロット価格も非常に高くて、初期投資をするには厳しいと判断せざるを得ませんでした
── その大きな問題はどのように解決したんでしょうか。
いま現在でも私たちはよく活用させていただいているんですが、クラウドファンディングで支援を募りました。我々の事業内容をご理解いただき、そのうえで生地を購入する資金の援助をお願いしてみたところ、ありがたいことにたくさんのご支援をいただき、生地を仕入れることができたんです。その結果、商品のラインナップがさらに広がるようになりました。
── たしかに、いまとなってはポーチなどの小物系から大きいサイズのバッグ類、そしてTシャツなど、取り扱う商品の幅が広がっていますね。しかも、そのどれもがデザイン性が高くて、とてもオシャレです。
ありがとうございます。私自身にはアパレルでの勤務経験こそありませんが、ちょうど学生時代にアメカジや古着がブームだった世代。ですから個人的にもともとファッションへの興味・関心はあって、アパレル業界での専門的な知識がないからこそ、かえって「こんなアイテムが欲しい」という自由なアイディアが出せているような気がしますし、それが商品開発にも活きているように思います。
デザインについてこだわることはやっぱり私のなかでは重要なことで、例えば剣道のTシャツなども私自身、高校生のころなどに大会に出場したときに記念で購入したこともありますが、結局はトレーニング用として使ったり部屋着として使うだけで、いまとなってはもう手元には一枚も残っていません。しかし、私たちの商品をせっかくご購入していただくからにはぜひ普段着として長く使っていただきたい。そのためにこだわるべきはやっぱりデザイン性で、商品には絶対に剣道のエッセンスは入れはするものの、たとえば文字をアメリカのカレッジ調でデザインしてみたりという工夫は欠かせません。バッグにしろTシャツにしろ、購入した方の日常生活のなかに剣道を取り入れてほしい、という思いがあるんですよね。

熊谷さんが手にするのはオリジナル商品のエアー雪駄。日本の伝統とハイテク素材が融合したユニークなアイテムだ

全国規模の大会への出店は、全国中学校大会、インターハイ、国体(国スポ)、京都大会などが恒例となっている
── 商品には熊谷さんのアイディアがかなり反映されているようですね。
そうなんです。もともと商品開発のメインを担っていた職人の黒崎ですが、実はコロナ禍のタイミングで、ご実家の事情などもあって郷里の兵庫県に戻ることになりました。ですからいまは私と弟でデザインと商品開発に携わっています。我々でまとめたアイディアを知り合いの縫製工場にお願いをして、最終的なカタチにしてもらうまでが商品制作の一連の流れです。
また、デザイン部分についてひと役買ってくれているのが仙台市で営業している剣道具店・大須賀武道具さんの女性スタッフたち。大須賀武道具の二代目社長が私の高校剣道部の後輩で、私たちのオフイス兼ショールームは大須賀武道具さんと同じビルの同じフロアにあるんです。私と弟だけではどうしても男性目線でのアイディアに偏りがちですから、そこで女性スタッフの方々に意見を聞いてみる。するとやはり「ここにポケットがほしい」など、女性ならではの視点に立ったいいアドバイスがもらえるんですよ。
── 現在「ENN LIVING WORKS」の商品はどこで購入可能なのでしょうか?
まずインターネットの販売サイトがあり、あとは大会会場への出店、百貨店の催事への参加などがあります。仙台市のショールームもありますが、大会出店や催事が重なるとほとんど商品がなくなってしまうので、イベントがある日は閉じさせていただくことが多いですね。ショールームでいえば東京にもあるんです。場所は浅草の浅草寺の裏手あたりのスペースで、百貨店催事で仲よくなった日本のモノづくりに携わるクリエイター8社で組合をつくりまして(日本製にこだわるクリエーター集団「Japan Creators’ collection’s ジャパンクリエイターズコレクションズ)、合同で商品を展示しています。
お得な情報としては、大会会場での出店が皆さんにもっともお手頃な価格で商品を購入いただけるチャンスだということ。やはり我々としては、剣道家の方々に使ってほしい、という思いが一番強いこともあって、多くの剣道家の方が集まる大会会場ではお求めやすい値段設定で販売させていただいています。出店する全国規模のイベントとしては、全国中学校大会、インターハイ、国体、京都大会などには例年参加させていただいて、それ以外となると東北地区の大会などに出店することが多いですね。全国大会となれば遠方での開催も多いですから、やはり移動だけでもなかなか大変ではありますが、ビジネス的な視点から見ても利益は大きいのでいまとなっては外すことはできません。
同じフロアで営業している大須賀武道具店さんでももちろんウチの商品は取り扱っていただいていますし、まだまだ少ないですけどほかの剣道具店さんでもTシャツを取り扱ってくださるお店が増えてはきましたね。これは私たちにとっては非常にうれしいことで、いわゆる逆輸入ではないですが、剣道をまったくやったことのないお客さまが「ENN LIV-ING WORKS」の商品を買うために剣道具店を訪れる、というのが私のひとつの目標。武道具店に行けば自然と防具や竹刀などに触れることになるわけで、それで剣道に興味を持っていただけたら本当にうれしいなと。ファッションの分野から、微力ながらも剣道の普及発展に貢献できるようならこれは本当に幸せなことですね。
── 個人的な感想として「普段使い」に充分対応できるデザイン性だと思います。
ありがとうございます。この仕事に携わるようになって感じたのは、あまり「剣道」と強く打ち出すのではなく、「日本文化」「伝統の藍染」などのワードでアピールしたほうが剣道未経験の一般の方の心には響くということです。以前、百貨店の催事でマネキンに剣道着・袴を着用させてアピールしたことがあったのですが、過去に剣道経験のある方こそ興味を持ってくださるものの、剣道経験のない方からすると皆さん自分とは無関係とすぐに判断されてしまうことが多かったんです。そこでいまは催事の場ではあえて「剣道着」と謳わずに、まずは日本の伝統文化としての歴史・魅力をご説明させていただいたうえで「実は剣道着にも使われているんですよ」とお伝えする。そうすると「ああ、言われてみればたしかに!」と興味をもっていただけるんです。
── それは今後、剣道を世のなかに広くアピールしていくときに非常に有益となる情報かもしれませんね。日本を象徴する、という意味で言うと、剣道世界選手権大会において2018年の韓国大会、2024年のイタリア大会と2大会連続で日本代表選手たちが「ENN LIVING WORKS」製のショルダーバックを使用して大きな話題となりました。
もともと韓国大会のときに、ウチの職人の黒崎と日本代表選手たちとで交流があって、そこでのやり取りから商品を提供させていただくことになったんです。その後、出店している大会の会場などで代表選手たちとお会いするたび、「次のイタリア世界大会ではなにかないんですか?」というご質問をいただくようになりました。私としてはJAPANの選手たちがウチの商品を待ち望んでくれていることがとってもうれしくて(笑)。それに、一度ご縁ができたのならばそれは長く大切にしていきたい。そんな思いもあって2大会連続で商品を提供させていただくことにしました。
── 熊谷さんのお話からは「縁」を非常に大切にしていらっしゃることが伝わってきます。
私自身の人生を振り返ってみても、ここまでやってくることができたのもすべてご縁のおかげ。だから会社の名前にも「ENN」と付けていますし、いままでやっていた飲食店の店名、そしてアパレルブランドにも「ENN」と付けているんです。


日本代表メンバーが手にするのは「ENN LIVING WORKS」が手がけたオリジナルのショルダーバック。剣道界でも大きな話題となった
日本製にこだわるクリエーター集団
Japan Creators’ collection’s(ジャパンクリエイターズコレクションズ)
https://japan-creators-collections.jp/
「いまが一番剣道が楽しい」
公私ともに剣道を満喫する

東北地区の強豪大で稽古を積み、大学2年時、4年時には全日本学生優勝大会に出場した
── 熊谷さんご自身の剣道歴もおうかがいできればと思います。
もともとの出身は宮城県の多賀城市というところで、剣道は小学校1年生からはじめました。当時テレビでアニメ「六三四の剣」が再放送されていて、私はよくそれを観ていたそうなんですが、ある日、街の電柱に「少年剣士募集」のチラシが貼ってあるのを見つけた親が「剣道やってみる?」と問いかけてきた。私自身には当時の記憶はないのですが、親の話によれば、見学に行った道場で、私のほうから「カッコいい、やってみたい」と言ったそうです。
私が入門した道場は強豪道場というわけでもなく、稽古も週に1回程度。それでも部内の試合で勝ったり、市内の小さな大会などで入賞できたことがいいモチベーションになって剣道を続けていたような感じです。大きな転機となったのが中学生時代で、私が進学した東豊中学校には当初剣道部には顧問の先生がいなかったのですが、ご自身がバドミントンの国体選手でもあった先生が就任してくれるようになったんです。この先生がとても熱い方でした。同じ地区内には剣道の盛んな松島中学校という強豪チームがいて、県大会に出場するための地区大会で対戦することになるのですが、先生は私たちに「松島中に勝って県大会に行くぞ!」という明確な目標を与えてくれたんです。剣道の経験はないながらも本当に一生懸命な先生で、大会でもしっかりと監督席に座って試合を見守ってくれましたし、試合が終われば審判員の先生のところに質問に行って、そこで受けたアドバイスを私たちに伝えてくれたり。結果、中学3年時の地区大会では松島中を破って優勝。続いて県大会に出てみればポンポンと勝ち上がることができて気づいてみたら3位入賞を遂げ、東北大会に出場することができたんです。
思いがけず中学時代に結果に恵まれたことで新たに開けたのが高校の道。当時の宮城県内では小牛田農林高校、仙台育英高校とともに当時は仙台高校が強豪校として名を馳せていたのですが、その仙台高校にお声がけをいただいたんです。もともとが強豪チームとは縁遠い環境でしか剣道をやっていなかったものですから、県でも上位の強豪校からのお誘いには私もテンションが上がってしまって、思い切って進学を決めました。当時の監督が佐藤充伸先生で、学生時代に日本一を経験されて、教員としても全日本選手権大会や世界選手権大会でも活躍する日本トップクラスの先生の指導のもと高校剣道をまっとうできたのは私の人生においてかけがえのない時間で、現在でも交流を持たせていただけているのは私の人生の宝です。
── 強豪校ぞろいの宮城県ですが、高校時代はどのような戦績でしたか?
やはり伝統校の小牛田農林の壁は厚くて、全国高校選抜大会、インターハイの二大大会の予選では小牛田農林に敗れてしまいました。しかも毎回本数差だったり代表戦での敗北で、とくに全国高校選抜予選は連覇がかかっていましたから、これは本当に悔しかったですね。
高校時代のよき思い出として残っているのは高校2年時の春の東北大会。このとき我々は決勝戦まで勝ち進むことができて、そこで対戦したのが県内最大のライバルである小牛田農林でした。東北大会の県予選では負けていた私たちですが、ここでは小牛田農林に雪辱を果たし、優勝することができた。これは本当にうれしい結果でした。高校3年時の夏の東北大会も決勝まで進み、東北大会の春夏連覇がかかっていましたがその時は決勝戦で敗れてしまった。最後は悔しさを残して高校剣道は終わりました。
高校卒業後に進学したのは東北福祉大学です。私が在学当時は東北地区では強豪のひとつで、東北内の有力校から選手が集まってくるような状況でした。私のいた仙台高からも毎年選手が進学していたんです。大学時代は2年時と4年時に全日本学生優勝大会に出場することができました。2年時は1、2回ほど勝てた記憶があるんですが、かなり曖昧で(笑)。4年時に1回戦で負けてしまったことだけははっきり覚えています。(笑)
大学時代は3年生からアルバイトをはじめてそれがずいぶんと楽しかった。学生時代は剣道部の思い出と同じかそれ以上にバイトでの出来事が印象深いかもしれません(笑)。

仙台市で活動する弘武館千葉道場に所属し少年指導にあたる
── 社会人となって以降の剣道はどうなったのでしょう?
住宅メーカーに勤務していた時期は仕事が多忙なこともあって完全に剣道からは離れていましたね。そのあと飲食店で勤務していたころも、おそらく5年ほどはやっていなかったように思います。しかし、地元で生活しているとやはり剣道の縁は途切れないもので、かつての仲間たちが勝手に仙台市内の小さな大会にエントリーしていたりするんです(笑)。そんなふうにして、気づけば剣道に復帰していました。
── 現在はどのような環境で稽古をされていますか?
私には娘が2人いて、どちらも剣道をやっているんです。弘武館千葉道場という道場に通っていて、いまは私もその道場で少年指導に携わっています。日頃の稽古といえば小・中学生相手がほとんどではありますが、いまは人生のなかでも一番剣道が楽しい時期かもしれません。どんなところがいいかと言えば、まずは自分のペースで剣道ができるところ。稽古中に疲れたと思えば面を外せますし、自分でがんばりたいと思えばどこまででもがんばれる。自分のペースでできる剣道って本当に楽しいものですね。
剣道の楽しみはまだほかにもあって、私もかなり剣道が好きなものですからよくネットの情報や専門誌などに目を通すんです。自然と有力選手の情報にも詳しくなってくるわけですが、仕事で大会に出店すればそういった強豪選手の試合する姿を生で観戦できる。剣道の競技観戦のもいまは大きな楽しみのひとつです。
そして、娘の応援がまた楽しい。長女はこの春から県内の強豪中学校に進学したんです。ですから、これからは娘の「追っかけ」がさらに忙しくなりそうですね。娘が選手になれればの話ですが、私の場合、娘が出場する大会に出店することもありますから、応援と仕事との「二刀流」ができる(笑)。娘の立場からすると、大会の会場に自分の父親がいるのはイヤなものかな、なんて思いもしたんですが、彼女にとってそんな環境はもはや当たり前になっているようで、自分の試合の合間に友だちを連れて出店ブースに顔を出してくれるんです。
── それでは最後に、お仕事と剣道と、それぞれの今後の展望などをお聞かせください。
仕事については今後も変わらず、まずは剣道家の方々に喜んでもらえることを大事にしつつ、剣道未経験の方々にもアピールしていけたらいいですね。そして、いまは海外でも剣道が盛んになりつつありますから、まだ先のことになるとは思いますが、いずれ海外での販売チャネルも整えたいと考えています。
剣道については、自分自身は今後もただただ楽しく続けていけたらいいなと思うだけですが、いま指導している道場の子どもたちには絶対に打たれたくない(笑)。だから二人の娘と教え子たちの元立ちを余裕でこなせるだけの力は今後も維持していきたいです。

大会出店はハイレベルな試合を観戦できる大きなチャンスでもある。
熊谷さんが着用するのは「ENN LIVING WORKS」のオリジナルTシャツ。「出頭面」のローマ字表記をスタイリッシュにデザイン

仕事とともに、今後は娘さんたちの「追っかけ」でまた忙しい日々を送ることになりそうだ
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