美味しいものを食べると、少し幸せな気持ちになりませんか?しかも、それがお得な価格だったら周りの人にも勧めたくなります。自分が楽しいだけではない、小さな幸せのお裾分けです。
誰かに教えたくなる、美味しくてお得な食品を日本全国から探して、流通させる。そんな面白い仕事をしているのが、食の商社・ジェーアイシーの日髙 祥臣 代表取締役です。
「創業家に生まれて事業承継をした」という話はよく聞きますが、日髙さんはなんと馴染みの喫茶店のオーナーから事業承継をしたというので驚きです。取り扱う商品だけではなく、ご本人も経歴もユニークな日髙さんに、事業のこと、これまでの人生の歩みについてお話を伺いました。
プロフィール
日髙 祥臣(ひだか・よしおみ)
1971年、大阪生まれ大阪育ち。太成高等学校(現・太成学院大学高等学校)から大阪産業大学に進学。卒業後、フットワークインターナショナル(株)を経て2010年2月に有限会社ジェーアイシーに入社。2013年に専務取締役、2019年に代表取締役に就任。商社として様々な商品を取り扱い、特に食品に強みがある。
剣道は小学校1年生から始め、中学・高校・大学・実業団と継続し30歳頃まで現役。現在は出身高校のOB会事務局長を務め、太成剣勇会に所属。剣道三段。
梅干し、明石焼き、魚にスイーツ…あらゆる食品を網羅する食の商社
──事業内容について伺ってもいいですか?
食料品や雑貨・化粧品等を仕入れて、通販会社や百貨店に卸したり、自社サイトでネット販売をしています。
例えば、こんな商品ですね。
僕が持っているのは『紀州南高梅つぶれ梅 はちみつ漬』。紀州南高梅の中でも、樹上で完熟させた梅を使用し、皮が薄く果肉が柔らかいのが特徴です。
製造過程で少し皮がやぶれたり、つぶれた梅も少々入っていますが、その分お得な価格でご提供できます。トロトロの食感で、大人気の商品です。
「B-1グランプリ」公認の『あかし玉子焼 粉セット』も人気ですね。明石の人に言わせると、「たこ焼きと明石焼きは全然違うもんや!」だそうです。「粉から違うんや」と怒られたことがあります(笑)。
『常温保存可能な焼鮭切り身』もお勧めです。
僕、家で魚焼くのあんまり好きじゃないんですよ。部屋中、魚のにおいになりません?
お弁当に魚を入れる時も、ご飯ににおいがついちゃうじゃないですか。
だから「焼いて真空パックに入れて、そのまま持ち運びできないか」と考えて作りました。お弁当と一緒にカバンにぽーんと入れて、食べる前に開ければいいんです。
──「食べる直前に開けるだけ」って、すごく楽ですね。
今までは「開けてあっためるだけ」「チンするだけ」な食品が好まれてましたが、最近はそれすら手間と感じる人も少なくありません。だから「開けるだけ」。極力手間を省きました。
あとは、日本の鮭って実は普段あまり流通してないんです。養殖のチリ産や、紅鮭はアラスカ産やロシア産がほとんど。でも、うちの鮭は北海道産です。しかも、常温で1年間保存できるんですよ。手前味噌ですが、めちゃくちゃ売れてます。
──すごい。売れるべくして売れている感じがします。取り扱い商品はどこで見つけるのですか?
展示会に行ったり、人の紹介ですね。ネットで探すこともありますよ。
日常で食べるもの……例えば梅干しやちょっと保存のきくものが一番売れます。綺麗なパッケージに包まれたギフト商品も良いですけど、ふだん家で自分で食べるものが、少しでも「良いもの」になると嬉しいし楽しい。美味しいものをお得に買えたら、なお良いですよね。日常生活が少しだけ非日常になって、パッと照らされるんです。例えば、生ハム2.4kgを2,980円の商品も扱っていますが、この量と値段を見るとテンションが上がりませんか?(笑)
──安いですね!これまで見せていただいた食品、どの世代にも好かれる気がします。
爆発的には売れないかもしれないけど、売り上げが高いところで安定するものを5〜10アイテム確保し、たまに一発ドカンと売れる商品を見つけてくるのが一番バランスがいいです。
うちの強みは食品の品数。例えば、餃子屋さんに行ったら、基本的には餃子しか取り扱いがないでしょう。百貨店の外商さんが50商品を集めたかったら、50社まわらないといけません。肉はこの人、魚はこの人、スイーツはこの人…といった具合に、カテゴリごとに分けたとしても窓口が3つも4つも必要です。
でも、うちに相談してもらえたら必要なものは全部網羅できます。窓口が一つで済むから楽なんです。肉からスイーツまで、全部対応できます。食の商社といってもいいかな。
商社の産地直送事業部で働いた経験が今も活きる
──売れる商品を見つける力は、どのように培ってきたのですか?
新卒で勤めた会社の影響が大きいですね。僕は大学を卒業後、フットワークインターナショナルという商社に勤めました。当時はフットワークグループというグループ会社で、フットワークエクスプレス(現・トールエクスプレス)とフットワークインターナショナルの2社で実業団にも出場した経験があります。30歳くらいまでその会社に勤めていました。
──フットワークインターナショナルではどんなお仕事をなさってたんですか?
食品の卸です。その頃から産地直送品を扱う部署にいました。
僕、社会人になるまでは勉強しなくても剣道で進路がひらけたんです。「剣道さえやっとけばまあどうにかなる」とぼんやり思ってたくらいだったのですが、働きだしてから困りました。周りと頭の良さが全然違うんです。フットワークインターナショナルの同期は9人いて、僕以外は日本語ともう一ヶ国語話せました。日本語しか話せないのは僕だけで、それもあって産地直送事業部に配属されたんです。
でも、その時の仕事の経験が今の仕事に活きています。本当に色々な産地直送品を扱ってたんですよ。ちなみに、夕張メロンを北海道から本州に渡らせたのはうちの会社です。
会社員時代に通ってた喫茶店のオーナーの会社を事業承継
──商社勤めから、どういった経緯で独立なさったんですか?
僕、この会社にはもともと、雇われで入社しているんですよ。2010年に入社して、その3年後に専務になりました。2019年から社長やってます。
会社を辞めて、ばーんと新しい会社を立ち上げた訳ではなくて、前の社長が引退するにあたって株式を全部買い上げて引き継いだんです。会社自体は昭和62年に創業してるから、けっこう古いですよ。
もともとは美術工芸品を専門としてたのですが、それだけだと売り上げが縮小してきてしまうので「うちに入社して食品を扱ってくれ」と言われて入ったんです。
──前の社長さんとはどこで知り合ったのですか?
フットワークインターナショナルの名古屋支社にいるときです。社長は事務所と喫茶店やってて、僕は出社前にその喫茶店でモーニングを食べてたんです。会社を辞めるときに「大阪帰りますわ」と挨拶にいったら、「俺も大阪によく行くから電話するわ。飯でも行こう」と言われました。
今の事務所の近くにも馴染みのお店がある日髙さん
会社をやめた後は、しばらくプー太郎でした。遊んどったんです、ふふふ(笑)でもある日、その社長から電話がかかってきました。「何してんねん。働いてんのか?」って。
「いや、働いてへん」と答えたら、「飯でも食べようか」と誘われ、新大阪で一緒にご飯を食べることになりました。
そのときに「お前うちで働けや」と言われたんです。でも、もう愛知に戻るのは嫌だったので断りました。
そしたら「いや、大阪でやれや」って。それで、その足で新大阪の隣の西中島に事務所を借りにいきました。机、椅子、電話とファックスだけおいて、今の仕事が突然始まったんです(笑)
──ご飯を食べたその日にですか?
はい、「もう場所なんてどこでもええやん。どうせ一人やし」って感じだったんですよね。「新大阪も近いし、新幹線もすぐ乗れるし、まあいいやろぐらい」のノリです(笑)
3・4年したら売り上げも出てきて、今の事務所に引っ越ししました。
──喫茶店のオーナーに気に入られて事業を承継するってすごいですね。人付き合いをする上で、普段から意識していることはありますか?
なんやろなあ…人と話す時は敬意を持って接するようにしています。
──お仕事をする上でも大事にしていることはありますか?
誰が買ってもお得感があって、喜んでもらえるものを流通させたいかな。僕はお酒を飲まないんですけど、そのぶん食べるのが好きなんです。色々なものを試食して、そのなかから美味しいもんを見つけてお得に流通させる。そんな仕事ができたら、面白いですよね。
後は、前進することをやめないこと。
──それは剣道の影響も大きいんですか?
そうですね。僕、下がるの嫌いですから(笑)
「極端に感情が溢れる」。学生時代の剣道の思い出
──剣道は何歳くらいから始めたんですか?
剣道は小学校1年生のときに始めました。中学は剣道部がなくて道場でやってましたね。なので中体連の試合には出てないんです。
──でも、高校は剣道推薦なんですよね?
はい、太成高等学校(現・太成学院大学高等学校)に進学して、大阪でベスト4くらいまでいきましたよ。大学の時は関西で団体ベスト4、個人はベスト8です。全日本学生も個人で2回、団体で2回出場しました。後は、東西戦の選考会にも呼んでもらってましたね。
──忘れられない剣道の思い出はありますか?
高校生の時の私学大会ですね。小さい大会なのですが、大阪の二強・PL学園と清風高校も出てくる試合でした。僕、この2校に勝ちたいだけで太成高校に進学したんですけど、その時の私学大会は、PLにも清風にも勝ったんです。でも決勝は初芝に負けたんですけど(笑)
大学1年生の後半からレギュラーでずっと試合に出させてもらったことも、よく記憶に残っているけど…でも、それ以前に剣道って、極端にこう…感情が溢れるっていうかね。青春時代の思い出は、鮮明に心に残ってますよ。
──大学卒業後も続けているんですよね。
大学を卒業してからは実業団の試合にも出させてもらって、いまは月に1・2回、多くて3回くらいのペースで稽古をしています。趣味程度の回数しかやってないけど、剣道の縁が仕事の面でもプライベートでも、本当に色々な繋がりを作ってくれます。なくなってしまうのが怖いくらいです。
僕は同期会の「平六会」の他に2つ上の先輩たちの同期会「獅子冴会」にも顔出させてもらっているんですけど、学生のころは喋ったことのなかった人たちと一緒に稽古したり飲み会するのは楽しいです。
「毎日食べるもの」を、美味しく、お得に。
──今後の展望について教えてください。
そんな大きなことは言えないですけど…。模索を続けながら、新しいことにどんどん挑戦していきたいですね。
特に「毎日食べるもの」のなかで、美味しいもの・面白ものをいかに探して、商品化するか。例えば、日本人なら、だいたい10人いたら10人、梅干しを買うと思うんですよ。10人のうち何人に、どうやってうちの商品を知ってもらって、買っていただくか。商品の発見から販売の仕掛けまで、戦略的にしっかり考えていきたいです。
価格帯は2000円、3000円、5000円くらい。無理のない量でお得感があるところにおさめていきたいですね。通販では、送料のことも考えると200円・300円の価格帯の食品では、なかなか利益が出ないので。
食品は派手な動きはしない商材なので、地に足をつけて、コツコツと長く商売を続けていきたいです。アンテナを高くして、これからもお得で良い商品をご提供できるよう頑張りますので、ぜひうちの販売サイトをご覧いただけたら嬉しいです。
──南高梅も、鮭もサンマも最高でした!!!御社の通販サイト、どれも本当にお得で美味しそうで、見入ってしまいます…。この記事をご覧の皆さんにも、全力でお勧めしたいです。本日はどうもありがとうございました!
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