”死”を身近に感じたことが原体験。心理カウンセリング、アスリート支援、人材育成…あらゆる心の悩みをサポート(衣川竜也 / 株式会社AXIA代表取締役)

誰にとっても身近な「心」の問題。株式会社AXIAでは、一般的な心理カウンセリングのほか、アスリートのメンタルサポート、働く人の成長支援など幅広く人の「心」を支えるサービスを展開しています。

代表の衣川さんが心の世界に興味を持ち始めたきっかけは、ご自身の病気でした。病気を抱えて生まれ、「手術の成功率は30%。成功しても20歳まで生きられない可能性がある」と言われてきた衣川さんは、物心ついた時から“死”を意識せざるを得ない生活をしてきたそうです。

病気を抱えながらも剣道の名門校・東洋大姫路に進学し、競技者として現在も剣道を続ける衣川さんに、心の話、お仕事の話、そして剣道についてお聞きしました。

プロフィール

衣川 竜也(きぬがわ・たつなり)

1978年兵庫県氷上郡(現 丹波市)出身。東洋大姫路高校卒業後、専門学校を経て編入により帝塚山大学に進学。卒業後、株式会社ヤマガタに就職。2008年にAXIAを開業し、心の病や悩みを抱えた人のカウンセリングの他、経営者・アスリートのコーチングも行なっている。

剣道は小学校1年生の時に始め、小中高大と継続。現在は錬士七段。

カウンセリング https://axia-co.com/
アスリートサポート http://axia-coaching.com/
法人向け人材育成 https://axia.osaka.jp/

「安定した心」とは?相談者が元来持つ「支え」と「強み」を一緒に探し出す

──事業内容について教えてください。

一般の方向けに心理カウンセリング、アスリート向けにコーチング、企業向けには社員のメンタルヘルス相談の受付、人材育成などを行なっています。

国家資格である公認心理師資格(登録番号 第44241号)を持つカウンセラーも在籍していますので、以下の項目で悩みをお持ちの場合はお気軽にご連絡ください。

心の病うつ、パニック障害、不安症、恐怖症、摂食障害、依存症、解離性障害、発達障害など
人間関係家族、夫婦、子供、友人、恋愛、職場、様々な人間関係の悩み
性格自己分析、性格改善、行動改善など
仕事モチベーション、就職・転職活動、企業、人事問題など
スポーツモチベーション、緊張やスランプの克服、競技力の発揮、セカンドキャリアなど
子育て親子関係、子供の行動、不登校、育児ノイローゼなど

──皆さんどうやってAXIAさんに辿り着くのですか?

ホームページ経由でご連絡をいただくことが多いですね。特に心理カウンセリングに関しては、悩みの性質上、口コミはまず起きないんですよ。

──たしかに、悩みが深ければ深いほど、こっそり探しますよね。

周囲の人には話していないけど、深い心の悩みを抱えた人もいます。
また、心は目に見えないものなので、悩んでいても周囲の人に理解してもらうことが難しい点も悩みが深まる理由です。
悩みを抱えた本人でも自分の状態が病院に行った方が良いのか、カウンセリングを受けた方が良いのかを判断することは容易ではありません。

ちなみに、「鬱」と「鬱状態」は違うんですよ。どちらも鬱症状は出ていますが、アプローチを間違えると悪化してしまうことがあります。

鬱状態はカウンセリングで改善できますが、鬱病は薬を飲まないと治りません。だから、よくよく話を聴いて見極めることが大切です。

──どんなふうに話を引き出すんですか?

いつからその状態になったのか、きっかけは何か、何日かに1日でも、状態が良い時はありますか?など、じっくり質問をします。その結果、「鬱病っぽいな」と感じた場合は、病院に行くことを勧めます。

その際も、「これとこれをお医者さんに必ず伝えてください」と、弊社で対応した内容をお繋ぎするようにしていますね。
相談者やその主治医から要望があれば、主治医宛ての所見をカウンセラーが作成します。

──悩みをお持ちの皆さんは、どうやって立ち直っていくのですか?

皆さん、実生活の中に「支え」があるはずなんです。また心理的な「強み」も持っておられます。お話をしながら人生を振り返って、支えや強みになる要素を一緒に探し出します。

個人差はありますが、支えや強みを糧に心理的な自立を促し、その人の社会適応が促進するように支援することで、悩みや課題を乗り越えていかれます。

──自分を支える要素が少ない人が相談に来た場合、ひるんでしまうことはありませんか?

相談内容を聴いて、難しい相談だと感じることはあってもひるむことはないですね。
いろんな症例について書かれた文献や医学書を読むなどして、どのような相談でもひるまず話を聴ける準備をしています。
相談内容によって動揺しないのは、剣道をしてきたおかげもあると感じます。

──心理カウンセラーに依存してしまう人もいると聞きます。

そうですね、心が回復されるまで依存されてしまうこともあるため、適度に距離を保つよう心がけています。

カウンセリングは非日常なので、相談者の方が生きる「日常」には介入できません。彼らの日常を支える何かを、私が与えて「欠けた何か」を埋めることはできないのです。だから、伴走者として「支え」や「強み」を一緒に探し、自分の力で立ち直るという体験をしていただけるように支援しています。

──「安定した心」って、一体どういう状態なのでしょうか?

安定した心理状態というものは、いくつかの表現ができると思いますが、私は、「自分のことを大切に思う気持ち」、「自分の能力や経験に対する自信」、「環境に対する一定の信頼感」などが同居した心理状態だと考えています。

過去も現在も含めて自分のことを肯定できていること、仕事や勉強で課題に取り組む力・人間関係を築く力があると感じていること、自分が生活する環境に安心感を感じていることは、心の安定には欠かせない要素だと思います。

カウンセリングやコーチングでも、相談者の中に上記の3つの要素が整うことを目指してアプローチをしていきます。

カウンセリングとメンタルトレーニングを組み合わせ、アスリートのパフォーマンスを向上

──アスリート向けのサービスに関してはどうですか?

悩んだ末に心が不安定になるという意味では、実は心理カウンセリングと共通している部分があるんですよね。心が不安定になっていると思考力や判断力も低下するし、運動のための脳の情報伝達も鈍ります。アスリートから相談を受けた時にも、まず不安定な心理状態を元に戻すところから始めています。

──たしかに、マイナスの部分を元に戻さないことには強くなれないですよね。

弊社に相談に来る方の中には、日本代表になった経験をお持ちの方やオリンピックを目指しているトップアスリートの方もいらっしゃいます。そういう方々は、心の健康状態が元に戻っただけで、結果が出ることが多いです。

コーチングを行い心の健康状態を良くするだけでもパフォーマンスは安定するんですよ。相談内容やアスリートの要望によってはメンタルトレーニングの指導を行うこともあります。メンタルトレーニングでは、パフォーマンス向上につながる神経の働きを高めることを目的とした方法を提供しています。

ちなみに、アスリートサポートで培ったノウハウを一般の方の心理カウンセリングに活用することもあります。例えば、パニック発作を抱えた方には呼吸法やビジョントレーニングを指導しています。

──衣川さんは、書籍も出版なさっていますよね。

はい、2021年に『実力を発揮するためのスポーツメンタル実践法』を執筆・出版させていただきました。

メンタルとパフォーマンス向上にご興味をお持ちの方は、ぜひご覧ください。

企業向けに、社員の成長支援や悩み相談も受付

──企業向けのサポートはどんなことをしているのですか?

企業向けのサービスは、コロナの少し前くらいから力を入れ始めました。アスリートのサポート経験を取り入れた社員へのコーチングを行ってほしいと依頼を受けることもあります。

例えば経営者の方で、ご自身の右腕になるような人を育てたい方や、社員の成長を促したい方からご相談をいただきます。私は、社長と社員の皆さんの間に入って、成長をサポートさせていただいています。

──企業関連で、最近増加している相談内容などはありますか?

うつ病や発達障害に関する相談と後継者や管理職の育成ですね。

うつ病の生涯有病率は6〜7%と言われています。
発達障害に関しては、子供の場合6〜7%と言われているので、大人になるまで診断を受けていない人を含めるともっと多い可能性があります。

企業の中にもうつ病や発達障害に該当する人がいることは自然なことなので、その方達のメンタルケアは個人の人生のためにも、組織のためにも必要なものだと言えます。

うつ病や発達障害の方が企業の中で安心して働き、力を発揮していけるようにメンタルヘルス対策を実施すること、合理的配慮に沿った仕組みづくりをしていくことが必要になります。
弊社はそのサポートを行っています。

※合理的配慮とは、障害者が社会の中で生活しやすいよう困りごとや障壁を取り除くという意識と取り組み。

後継者や管理職、その他従業員の育成に関しては、コーチングや各種研修を提供しています。
特に後継者、管理職の育成は、経営者と当事者と私でコーチングを行うことで、双方の意図が伝わりやすくなるような橋渡しをしながら話を進めていきます。
また、メンタルヘルス、合理的配慮、育成というテーマに沿った仕組みづくりのためのコンサルティングも行っています。

──企業にとっても、社員の方にとっても良い方向に進みそうですね。

そうですね。企業の人材育成案件などに関しては今後も力を入れていきたいので、こちらの記事を読んでご興味のある場合は、ぜひお気軽にご連絡ください。

仕事をしている時間は、1日の3分の1以上。とても長いですよね。だから、心理的負荷の少ない職場環境を作ることはとても大切です。「心理的安全性」が整っている会社の方がパフォーマンスを発揮するというデータもあります。

働く人のメンタルサポートに力を入れることは、国民の心の健康の維持、促進のためにも必要なことだと考えて取り組んでいます。

高校は名門・東洋大姫路に進学。剣道の実体験を通してメンタル面に興味を持つ

──事業を始めた経緯には、剣道の影響も大きいのでしょうか?

特にアスリートサポートについてはそうかもしれないですね。試合をする時に、「もう少し頑張れたんじゃないか」と思うことがあって、何が足りないのか考えた末、メンタル的なところに興味を持ち始めました。私自身、試合では良い時と悪い時の波があった方だと思うので。

──剣道を始めたきっかけを教えてください。

小学校1年生の時に、近所の友達に誘われて始めました。当時の先生が怖くて、2年生くらいまではやめたかったですね(笑)

転機は、大阪から引っ越してきたある先生との出会いでした。偶然、外で防具を干しているのを剣道教室の保護者の方が見かけて「教えにきてくれませんか?」とお願いしたそうです。

不思議な先生でした。全然怒らないし、剣道に限らず色々な話をしてくれるんです。芸術の感性にも長けていて、美しい刺繍やガラス細工も作っているような方でした。

教え方がとても上手く、その先生が来て半年後に地元の大会で道場が優勝したんです。勝てるようになると、どんどん剣道が面白くなっていきました。

──中学でも剣道を続けましたか?

はい、中学では剣道部に所属しました。ライバル校があったのですがなかなか勝てず、学校の練習だけだと物足りないので、先生方の稽古会にも参加させていただくようになりました。

その稽古会に来られていた先生に、「そんなに剣道が好きなら東洋大姫路に進学してみないか?やる気があるんやったら顧問の先生に紹介するよ」と言っていただいたんです。

──名門校ですね!進学してみてどうでしたか?

東洋大姫路は、私が入学した頃には女子が全国選抜への出場も決めていました。同級生も先輩も強くて、同級生には後にブラジルでの世界大会に出場した選手もいたほどです。

稽古はとてもしんどかったですが、私達の代は各種大会でそれなりの成績も残せましたし、強い同級生と3年間一緒に稽古ができました。東洋大姫路の剣道部で得た経験は大きな財産です。

──大学も剣道部に?

大学は編入試験を受けて入り、剣道部に所属しました。

実は、私は、生まれてすぐ胆道閉鎖症と診断されたんです。助かる確率は約30%、後遺症も残る可能性も大いにある病気です。

私はたまたま術後の経過が良かったのですが、手術が成功しても20歳まで生きれない人もいると言われていました。東洋大姫路に進学すること自体「ありえない」と言われていたほどです。

このため大学進学の際は悩みました。「身体のこともよくよく考えた上で選んだ方がいい」と先生にも言われていました。

結局、スポーツや医療系の知識と近畿大学の通信課程を一緒に学ぶことができる専門学校に進み、2年間勉強したら、大学に編入することにしました。

──そんなご事情があったんですね…。大学はどちらに編入したのですか?

近畿大学に編入することも考えましたが、他にも編入ができる大学をリストアップして帝塚山大学を選びました。

大学の試合を見たときに、久御山高校、大成高校、履正社など近畿の強豪校出身の人も多く、一緒に剣道できたら面白そうだなと思ったんです。そこで、帝塚山大学への編入を決めました。

大学では3年時に編入した直後から試合に使ってもらえたのですが、団体戦は自分の結果で勝敗が決まる状態で試合をする機会が多かったので、心理状態とパフォーマンス関係を考える上で良い経験ができたと思います。

”死”を身近に感じたことが原体験に。どんな相談も受け付ける

──大学卒業後の進路は?

株式会社ヤマガタという、封筒などの紙製品を扱う会社に就職し7年間働きました。
ただ、もともと心理学には興味があったのと、心理の知識はどんな仕事をする上でも役に立つと思い、仕事をしながらカウンセラー資格を取得するための勉強を始めました。

──スポーツ心理以外にも興味を持ち始めたのは、何かきっかけが?

私は0歳の時に手術をしたのですが幼すぎて記憶がなく、自覚がないまま「重い病気がある」と言われて生きてきました。しかし小学校4年生の時に、食道静脈瘤が腫れて入院し、その時に「僕って結構やばい病気なんだ」と初めて自覚したんです。

治療経過は良かったものの、「死」を身近に感じました。自分だけでなく難病を抱えた同世代の子供が何人も入院していたので、その環境の中で自分の現実を受け入れながら過ごしたことは、自分の心と深く向き合う経験になったように思います。

これが「心」に興味を持ち始めたきっかけかもしれません。今の仕事で人の心理に関心を向けることができるのも幼少期の体験が影響しているように思います。

──資格をとって、いきなり独立したのですか?

はい、某大学の研究室でも指導員として在籍されていた先生に出会い、開業前から指導を受けに通い、2008年に個人事業としてカウンセリングオフィスAXIA(アクシア)を開業しました。

開業した当初からの方針なのですが、「どんな悩みでもまずは思いをしっかりと受け止めよう」と考えています。カウンセリングは自分の力量を超える相談は、経験豊富なカウンセラーに相談者を紹介することが求められるのですが、一度だけのカウンセリングになったとしても、私を通じてカウンセリングを受けてよかったと思っていただけるようにしたいと考えていました。

また、精神科や他のカウンセラーから相談を断られた人からの依頼があれば、一度は話を聴くようにしていたので、その姿勢が多くの方から相談をいただけることにつながったように思います。

丁寧に話を聴くことを心掛けていたからか、開業して間もない頃に精神科の先生から相談者を紹介して頂けるようになりました。現在は、病院、学校、弁護士事務所、福祉施設、企業など、さまざまな分野から相談者の紹介をいただいています。

──悩み相談を断ってしまうカウンセラーさんもいるんですね。

性嗜癖行動や性的指向、同性愛に関するご相談は、断られるケースがあるようです。私はカウンセラーが断れば、その人達は相談に行くところがないだろうと思っていたので、相談依頼があれば受けてきました。

例えば、盗撮を繰り返してしまう方など、性犯罪の再発防止なども弊社では取り組ませていただいています。弁護士さん経由でご相談をいただくことも多く、10年ほど前は「たくさん電話しても断られ続け、AXIAさんだけが相談を受けてくれました」と言われることもありました。

それぞれの事業が影響し合い、好循環を起こしたい

──相談件数もかなり多いのでは?

2021年12月時点で、年間の臨床数が2200件を超えました。最近ではオンラインの相談も増えていて、予約がどんどん埋まっています。

──大人気なんですね!今後の展望を教えてください。

カウンセリング、アスリートのサポート、企業の人材育成、それぞれの仕事の経験が循環するようにしたいです。
現時点でも、1つの分野で培った経験を他の分野にも活かすことができているので、3つの分野を並行して進めていることの有益性を感じています。

弊社の屋号であるAXIAは、ギリシャ語で『価値のあるもの、大切なもの』という意味があります。
最初にどんな意味の名前を付けたいかを考え、いろんな国の言葉から響きの良かったAXIAを選びました。

アスリートにも企業向けにもサービスを提供したかったので、その点も鑑みた上で屋号をつけました。

──剣道に関してはいかがでしょう。

剣道は週1〜2回のペースで続けていて、試合にも出ています。実際に試合で緊張感を感じ、その中でパフォーマンスを発揮することは、相談者であるアスリートの心理状態を体感することにもつながります。私自身が試合に出たいことも大きいのですが、剣道についても、これからも続けていきたいですね。

──カウンセリングだけではなく、アスリートやビジネスマンなど、色々な分野の相談に乗っていただけるのはとても心強いですね。本日はどうもありがとうございました!

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